2023年東京六大学野球連盟秋季リーグを制覇し、第54回明治神宮野球大会では青山学院大を下し4年ぶりに日本一に輝いた慶應大。リーグ通算40回の優勝を誇る慶應大はどのような鍛錬を積み、強さを追求しているのか。今回は、その強さに迫るべく、慶應大の日々の練習について堀井哲也監督に伺った。
◆メンタル面で『日本一』をどれだけ意識できるか
―まず、慶應大のトレーニング方法について教えてください。
「1年間を通して週2回のトレーニングを行っています。時間にするとおよそ90分で、前半30分間は体幹トレーニングを行い、残りの60分間はバーベルなどを使ったメイントレーニングを行っています」
―こちらのメニューはオフシーズンのみでなくリーグ戦期間でも行うのでしょうか。
「リーグ戦期間中も継続して行うことで、シーズン後半にもパワーを落とさず、各季の最終戦である慶早戦にコンディションを整えていきます」
―時期によって行うメニューに変化はあるのでしょうか?
「シーズンに関わらず行うメニューとしては懸垂や上半身の柔軟を行っています。冬に重点的に行うのは内転筋、お尻、背中のトレーニングです。テーマとしては『強く』『柔らかく』『早く』を掲げています」
―トレーニング後の確認やフィードバックはどのようにしているのでしょうか?
「選手にはトレーニングノートを提出してもらうようにしています。ノートにはその日のメニューやトレーニングで上げた重量を記録します。そのノートに次回の目標をこちらで記入して選手へフィードバックしています」
―ランニングメニューなどはどのような取り組みを行なっているのでしょうか?
「大きく3種類で、ハイパワー・ミドルパワー・ローパワーと分けています。それぞれ走る距離によって出力が変わるので、短距離はベースランニングや50m走を行い、ミドルパワーの中距離はポール間ダッシュを30〜32秒で行います。ローパワーはインターバル走などの長距離を走ります」
―ランニングメニューもウェイトトレーニング同様にリーグ戦期間も行なっているのでしょうか?
「ランニングメニューは基本的に2月に入ると週1回に切り替えます。この時期になると実戦の中で走ることが増えるためです。ただし、投手は毎日ランニングメニューを行います。また、リーグ戦期間中も試合がない週があるのでその場合はランニングメニューを入れる場合もあります」
―どのような意図を持ってランニングメニューに取り組むのでしょうか?
「リーグ戦の期間を戦い抜く体力をつけることが1番の目的です。オフシーズンにはボールを使う時間を削ってでも体力をつけることが大事だと考えています。また、メンタル面では『日本一』をどれだけ意識できるかが重要です。選手1人ひとりがどうなりたいのか、意識が変われば練習に対する気持ちも変わります。これはメニューに関わらず全ての練習に言えることだと思います」