今季カープの開幕投手は九里亜蓮に決定している。プロ11年目で大役を担うことになった九里は昨季、12球団トップのイニング数を記録するなど年間通じて先発ローテーションを守り抜き、カープ投手陣を支えてきた。

 ここでは、「広島アスリートマガジン」が過去に行った九里亜蓮の独占インタビューを改めて振り返っていく。今回は2021年にプロ8年目で初のタイトルとなる最多勝を獲得したシーズンオフの言葉をお送りする(2021年12月取材)。

大瀬良大地(左)と九里亜蓮(右)は2013年ドラフトの同期入団だ。

◆どちらかといえば課題が残ったシーズン

─プロ8年目で初めてのタイトルとなる最多勝(13勝)を獲得されました。

「タイトルを獲れたことはうれしいですが、それは自分一人の力ではなく、リリーフ陣、野手のみなさんがしっかり守って、得点を奪ってくれたからこそ獲れたものだと思うので、周りの方々に感謝の気持ちでいっぱいです」

─13勝はキャリアハイとなります。振り返ると2桁勝利にあと1勝に迫る9勝目をあげてからと12勝目以降、数試合勝てない試合が続きました。勝ちを意識した部分があるのでしょうか?

「それは特にありません。マウンドでしっかりと自分のピッチングができれば、勝ち星は、あとから付いてくるものだと思っているで、これまで通り、とにかくチームの勝利に貢献できる投球を心がけて投げていました」

─2年連続で先発ローテを守り抜きました。昨年からどんなところが成長したと感じておられますか?

「成長したとは正直思っていません。どちらかと言うと、課題のほうが多く残ったシーズンでした。ただ、どんな状況でも、試合では冷静に投げることができました。また、今年1年、真っ直ぐの強さを追い求めてきました。そのあたりを1年間通してできたのはプラスに捉えています」

─今シーズンは25試合に先発。印象に残っている試合を教えてください。

「5月19日の巨人戦(東京ドーム・完投勝利)。(中村)奨成とバッテリーを組んだ試合ですね。奨成は一軍で初めてマスクをかぶる試合だっただけに、不安を含め、いろんな思いがあったと思います。なんとか引っ張っていければという思いでマウンドにあがり、試合中も奨成と話しながら、対策を立てて投げることができました。相手打線が2巡目、3巡目となっていくなかで、この打者はこういう風に攻めようなど、いろいろ話をしながらできたので、そのあたりは良かったと思います。完投勝利をあげることができた点でも印象に残っている試合です」

─その試合後、5月下旬に新型コロナウイルスの陽性判定を受けました。約1カ月戦線離脱となり、次の白星まで1カ月半、間が空きました。コロナの影響は大きかったのでしょうか?

「体を動かせなかった時間があるぶん、復帰後は、普通にできていることでも、どこかに負担がかかっているんだろうと思いながら過ごしていました。復帰後当分の間は自分の投球はできませんでした。自分の球が戻ってきたと感じたのは9月になってからです」