2021年に広島ドラゴンフライズに加入した船生誠也。万能型スモールフォワードとして活躍し、2022-23シーズンにはB1通算500アシストを達成するなど、いまやドラゴンフライズに欠かせない存在となった。

 ここでは、2シーズン連続のチャンピオンシップ進出を目指すチームの 『今』、そして、バスケット選手として目指す姿を語ってくれた船生の独占インタビューをお送りする。(取材は2024年3月1日)

2026−27シーズンに開幕するB.LEAGUE PREMIERへの参入を目指す広島ドラゴンフライズ。

大切な試合がつづく3・4月。2年連続CS出場をつかみとりたい

ー2024年シーズンは6000人以上のファンが来場する試合もあるなど、ドラゴンフライズへの注目度も高くなっています。

「それについては、2023年に開催されたバスケットボールW杯の効果もあるでしょうね。ただ、そもそもバスケットボールのエンタメ性やコンパクトなゲーム展開は、現代において有利な部分だとも思っています。あとは、クラブから足を運んでくれる方々に対して、『何を大事にしているか』といった価値観の部分を伝えていくことも必要になってくるでしょうね。例えば琉球ゴールデンキングス(以下、琉球)でいえば、岸本隆一選手という、沖縄出身・琉球一筋でプレーしているクラブの象徴のような選手がいます。そういう選手が口にする言葉やプレーで見せるバスケットボールへの熱量は、伝わり方が全然違うと思っています。選手側も意識をしながら、ファンのみなさんも選手の熱量をしっかりキャッチできる文化になれば、広島にバスケットがもっと根付いていくのではないでしょうか」

ー『文化』として根付いていくためには、どのようなことが必要だと感じていますか?

「そうですね……。選手の立場からは、まずは『伝え方』が大切なのではないかと思います。バスケットが上手いだけでなく、コートの内外でバスケットボール選手として、人の心をしっかり動かすことができる選手が増えていくと良いですよね。そうすれば、おのずと良いエネルギーが生まれて、伝播していくのではないでしょうか」

ーでは、船生選手がバスケットボール選手として、そして多くの人に見られる存在として意識されていることはありますか?

「さまざまなカテゴリーで表現の場に立つ人がいると思いますが、『誰かの目の前に立って何かを披露する』というという点に関しては、アーティストでも、俳優でも、バスケットボール選手でも同じではないかと感じています。10人の前に立つといういうだけでも、その人は表現者だと思いますし、『誰かに自分の存在を示す』という意味では、人間はみんな表現者と言えるかもしれません。その表現者の一人として、周りに何ができるだろうということは、いつも考えていますね。実は以前は、『バスケットだけやっていれば良い』と思っている部分もありました。でも今は、バスケット選手としてコートに立つからには、自分がいる意味を表現していかなければいけないという考え方に変化してきています。今シーズンはどの試合もフルハウス(満員御礼)で、本当に多くの方が会場に足を運んでくださっています。引き続き、最後まで応援していただけるとうれしいですね。応援よろしくお願いします」

船生誠也(ふにゅう・せいや)
1993年12月15日生、福島県出身
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、富山グラウジーズ、琉球ゴールデンキングスを経て2021年、広島ドラゴンフライズに加入。2022-23シーズンにはB1通算500アシストを達成したSF。190㎝を超える長身ながらディフェンスにも長けており、さまざまなポジションをこなす万能型選手。