4月2日、2024シーズンの本拠地開幕戦を迎えた新井カープ。今季初先発の床田寛樹は、ヤクルト打線を相手に7回を投げて、被安打4無失点と抜群のピッチングを見せた。昨季はチーム最多の11勝利を挙げ、今季も先発陣の柱として期待のかかる左腕を見出したのは、松本有史スカウトだ。

 ここでは過去に広島アスリートマガジンで松本スカウトが語ってくれた、床田との出会いを改めて回想する。

本拠地開幕戦に登板し、7回4安打9奪三振無失点の力投を見せた床田寛樹。

◆魔球チェンジアップが魅力のエース街道を走ってきた左腕

 床田は中部学院大1年の頃から見ています。同じ大学に、野間峻祥(2014年ドラフト1位)がいたので、新入部員のチェックは欠かさず行っていました。

 床田の持ち味は、ストレートと変化球を同じ投球フォームで投げれることです。また、常にポーカーフェイスで投げるので、打者からすると打ちづらい投手だと思いました。

 投手を見る時、投球フォームの中で、肩と肘が柔らかく使えているか、球持ちが良いかというところに注目しています。また、私は野手出身なので、打ちづらいかどうかの視点も大事にしています。

 床田は、私が見に行った試合で打たれることはほとんどありませんでした。特に光ったのはチェンジアップ。床田の武器であるこの球はプロでも十分通用すると思いましたね。

 大学時代は線が非常に細かったです。本人もどれだけ食べても太らないと言っていたのですが、2019年に左肘のトミー・ジョン手術(側副靱帯再建術)を受け、そのリハビリ期間中に、徹底的に肉体改造に取り組んだことで体がグッと大きくなりました。

 床田はプロ入りまで、ずっとエースと呼ばれてきた投手。プロでケガも挫折も経験したことで、逞しさが増しているように感じます。先発左腕の1番手の座を確立してほしいですね。

●松本有史(まつもと ともふみ) 
1977年5月1日生、広島県出身
崇徳高-亜細亜大を経て、1999年ドラフト7位でカープに入団。現役時代は長打が魅力の内野手として活躍した。2005年限りで現役引退すると、翌2006年からスカウトに転身。現在は主に東海地区を担当し、堂林翔太、菊池涼介、九里亜蓮らの獲得に成功した。