150キロを超える速球を武器に昨シーズン、自身初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手に輝いたカープのセットアッパー・島内颯太郎。今季もフル回転を見せている“8回の男”が考える心境に迫った独占インタビューをお送りする。(全3回/2回目)

「うまくいかない時期を早く脱して、チームの助けになりたい」と語った島内颯太郎

◆失敗はリセットして 次のマウンドへ

─オープン戦の中盤、新井貴浩監督が『栗林良吏投手にクローザーを任せる』と報道陣の前で明言されました。島内投手は何か新井監督から伝えられたことなどはありましたか?

「栗林がクローザーだと発表されたタイミングでは何も言われていなかったのですが、開幕前に『8回で行くよ』と言っていただきました」

─『8回で行く』と直接言われて、どのような思いでしたか?

「やはり昨年とは見られ方も違うと思いますし、『やって当たり前』と思われているところもあると思います。昨年よりも責任感が出てくるという気持ちと、身が引き締まる思いがありました」

─開幕後の手応えはいかがですか?

「試合をたくさん投げさせてもらえることはすごくうれしいことですし、今年の目標は、“チーム最多登板”なので、より首脳陣に頼ってもらえる投手になりたいと思っています。まだ始まったばかりですが、今のところは指名していただいているので、何とか期待に応えたいという気持ちです。昨年も1年間の中で、なかなかうまくいかない時期もありましたが、今年は開幕から僕の中で思うような投球ができていない登板が続いています。打たれるにも何かしらの理由があると思うので、そこは映像などを見ながら課題を見つけるようにしています。ただ、今は我慢の時期だと自分に言い聞かせてやるしかないと思っています。チームに迷惑をかけているのは変わらないことなので、何とか早く僕がチームを助ける立場になれたらと日々思いながら試合に臨んでいます。チームのためにも、早くこの時期を脱したいですね」

─改めて島内投手がリリーフとして大切にしていることを教えてください。

「たとえ失敗したとしても、次の登板に持ち込まないことです。リリーフ投手は毎日準備をして、毎日ブルペンに入って、いつ投げるか分からない状況にあります。冒頭でも少しお話ししましたが試合数が多くなると、どうしても結果が良くない試合もありますが、その気持ちを次の試合に持ち込まないようにすることが大事だと思います。それが1年間を通して投げるためには必要だと経験からも学ぶことができました」

─リリーフ投手は重圧のかかる場面での登板が多く、成功もあれば失敗もあると思いますが、気持ちを切り替えるために何か意識していることはありますか?

「プロに入った当初は、打たれれば僕自身もやはり落ち込みますし、なおかつ『チームに迷惑をかけた』という気持ちや、周りから『次もまた失敗するのでは?』と思われているのではないかと、自分で思い込んでしまっていました。ただ、何年もプレーをするうちに、意外と周りはそんなことを思っていなくて、自分が勝手に追い詰めているだけなのかもという感覚になりました。自分の思い込みで、マイナスな結果になるのは、もったいないことだと思いますし、次に抑えられるかどうかは分かりませんが、自分の中でリセットしてマウンドに上がることが大事だと思うようになりました。そしてそれが結果的にチームの勝利にも自分のためにもなると感じました。もちろん、野手のみなさんや投手の先輩たちがいろいろ声かけをしてくださるので、そういったことからも気付けたことだと思います」

《第3回につづく》

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