クラブ初となるチャンピオンシップ・ファイナル進出を決め、5月25日に昨年王者・琉球との一戦を控えた広島ドラゴンフライズ。今シーズン限りでの現役引退を発表している朝山正悟は、ドラゴンフライズ立ち上げ当初からクラブとともに歩んできた。

 ここでは、改めて昨シーズン初のCS出場を決めた直後に聞いた独占インタビューを振り返る(取材は2023年4月、全3回/3回目)。

5月5日に行われた引退セレモニーで、集まったブースターの声援に応える朝山正悟。

3Pシュートは絶対に日本の武器になる

(取材は2023年4月26日)—ヘッドコーチ(HC)の経験のある朝山選手からみて、首脳陣からの3Pシューターの存在とは?

 「時代によってバスケットが変わっていくなかで、3Pシュートは本当に重要視されています。今では勝つためになくてはならないピースだと思います。よって3Pシューターがより打てるチャンスをつくる戦略が、これからさらに注目されてくると思います。以前から話していることですが、日本代表のバスケットチームが世界と互角に戦うには、3Pシュートが絶対に必要なのです。日本人がフィジカルで劣ってしまうのは仕方のないこと。だから3Pシュートはそれをカバーすることができる大きな武器で、精密さや器用さが求められる3Pシュートは日本人に向いていると思います。この武器をもっと高めていくことができれば、もっと日本から世界へ選手たちが出ることもできるようになるし、チームとしても世界と互角に戦えるようになるはずです。僕は将来指導者になりたいという思いがありますので、そのなかで本当に突き詰めていきたいと考えている武器なのです」

—チームとしての武器だけでなく、日本の武器ということですか?

 「絶対にそうですね、そこは声を大にして言いたいです。それに日本人の持つ和の部分、何か一つの目標に対して、人の気持ちを汲み取りながらみんなで突き進んでいく、つくり上げていくという姿勢は、世界と比べても特化していると思います。個の能力の先にある、みんなで戦い打ち勝っていくという部分は、もう一つの大きな武器ですよ。僕もいい年齢なので、日々バスケットができているという感謝の気持ちと、みんなに支えられているという気持ち、自分ができることは一体なんなのか、そういったことをより感じるようになりました。若い時は上手くなりたい、勝ちたいといった、自分だけにフォーカスしていたものが、年齢を重ねることで、より周りに対してフォーカスするようになりました。どうやったら広島にもっとバスケットが根付くのか、これから子供たちが目指すバスケットボールはどうあるべきなのか、そのために自分ができることはなんだろうか、目に見えるもの、見えないものがたくさんあると思います。そういったことを、自分自身が楽しみながらやりたいと思っています。僕はバスケットが好きで、バスケットにこれだけ育ててもらって、いろんなことを学んできました。今度はそれを後輩たち、子どもたちに伝えていきたいです。バスケットが好きだという気持ちを大切にしながら、たくさんのことを伝えていきたいなと考えています」

—将来の日本を支える3Pシューターの育成や、バスケットの魅力を子どもたちに伝えるという大切な役割がこれからの朝山選手にはありますね。

 「僕にとって、ブースターのみなさんの熱い思いが全てです。みなさんの思いが僕のモチベーションそのものになっていますので、一緒に戦っていただき、最後に笑い合えたらと思っています」