クラブ初の優勝に向け、強豪・琉球とのCSファイナルを目前に控えた広島ドラゴンフライズ。2022-23シーズンからゲームキャプテンを任されている寺嶋良は、今シーズンも強い覚悟を持って開幕を迎えた。しかし、3月3日の試合で負傷し無念の離脱を余儀なくされた。躍進を続けるチームをコート外からも支え続けたキャプテンが、シーズン開幕直後に語っていた思いとは。(収録は2023年9月、全3回/1回目)
◆「きっとみんながキーマンになると思います」
—まずは、チームについてお伺いします。2023-24シーズンは新たに、ロバーツ・ケイン選手や山崎稜選手が加入し、中心選手の一人であった辻直人選手が移籍されました。メンバーが変わってきたと思いますが、チーム自体の仕上がりはいかがですか?
「ディフェンス面がかなり強化されてきているのを感じます。2022-21シーズンの課題であったディフェンスを鍛え、それをさらに改善しながら戦おうとカイル・ミリングヘッドコーチ(HC)から言われていますので、みんなの意識も高まっています。ですから、昨シーズンよりもディフェンスの完成度が高いと感じており、今年は特にその部分がチームの武器になってくるのかなと思います」
—例えば、開幕を100とすると、今のチーム状態はいくつくらいだと感じていますか?(取材は2023年9月5日)。
「昨シーズンの今の時期は、たぶん40くらいだったと思います。でも今年はすでに、60〜70くらいは仕上がってきていると思います。あとは細かいプレーやポイントをすり合わせながら、高めていくことが必要ですね。戦術や個々の役割に対する意識的な部分はとても良くできてきましたので、基礎的なフィジカルを強くしていくことも大切です。昨シーズンよりもアグレッシブに、体をフルに使ってディフェンスをしていくためには、もっとフィジカルを強くしていかないといけません」
—では、今年のドラゴンフライズは、基本的にディフェンスのチーム。徹底した守りからリズムをつくって攻撃に移っていくというスタイルになりそうですね。
「そうなると思います。HCの方針も、まずはディフェンス力を高めることに重点を置いていますから、しっかり守って攻撃に移るというチームになってくると思います」
—昨シーズンはリーグ4位、そして初のチャンピオンシップ(CS)出場を果たしました。今シーズンの目標も、やはり優勝ですよね。
「もちろん優勝を目指しています。昨シーズンはチームとして初めてのCSに出場できましたので、今年はさらに上。地区優勝、CS優勝を目指してチーム全員で頑張っていきます」
—優勝のキーマンとなる選手は誰だと考えていますか?
「きっとみんながキーマンになると思います。辻さんが抜けて、周囲からは戦力が落ちたんじゃないかと心配していただいていますが、僕はそんな風には思っていません。戦力が落ちたというのは、一人でその負担を埋めようとするからです。たとえば一人で500円を出して負担するのではなく、みんなで50円ずつ出し合って500円にすれば良い、それがチームというものだと思うんですよね。チーム全員が1つでもレベルアップすれば、50円を出すことだって問題なくできるはずです。そうすることで、辻さんが抜けた穴をしっかりと埋めることができると思いますし、そういう経験をすることによって、さらに個々が成長できます。たしかに、大きな選手が抜けてしまったのは事実ですが、逆にこれはチャンス。良い機会なんじゃないかなと思っています」