シーズン序盤は苦しんだものの、徐々に調子を上げてきているカープ。4月16日以降は大きな連敗もなく、勝率5割を推移している。昨シーズンは交流戦後から波に乗り、10連勝を記録した。夏場に向けて期待のふくらむ2年目の新井カープの序盤戦を、OB・大野豊氏が独自の目線で解説する。(全3回/2回目)

「野手全員の奮起を期待したい」と語る大野豊氏

野手全員が奮起して、先発に勝ちがつく試合を

 一方で野手陣は、シーズン序盤は無得点に抑えられてしまった試合も多く、苦しんでいる様子が見られました。

 なかなか今のメンバーでは打順を固定して戦うことは難しいのだと感じます。打順を入れ替えてみる、若い選手を起用する、とさまざまな工夫をしていましたが、やはり現状の最大の課題は、なかなか打順が固定できないことでしょう。試合数に対して、ロースコアで負けてしまった試合が多いように感じます。決して打てていないというわけではないのですが、なかなか得点につながらない。選手たちには今一度、『確実に1点を奪うにはどうすれば良いか』と考え、それぞれしっかりと準備をしてほしいと思います。やはり勝つためには、点を取らなければなりません。『負けない野球』のポイントになるのが守備と投手陣なのだとすれば、『勝つ野球』をするためには、とにかく打線が点を取らなければいけません。誰か1人がキーマンになるのではなく、野手全員がさらに奮起してくれることを期待したいです。

 カープの選手たちの個々の能力は高く、実力もあります。首脳陣も、状況に合わせた打線の組み替えなど、常に工夫をしながら戦っている姿が見られます。昨シーズンも、序盤はなかなか勝てない時期が続いていました。野手陣には、チャンスを粘り強く活かして得点を生み出し、先発に勝ちがつくような試合を増やしていってもらいたいと思います。

 もちろん勝負の世界ですから、1点を取る難しさは当然あります。ただ、1点を取らなければ、2点目は入りません。コツコツと安打を積み重ねる。四球を選んで塁に出る。そうして、チャンスで確実に点が取れる展開を、選手全員でつくっていくことが大切です。野手陣には、少しでも得点の確率を高めていけるように取り組んでもらいたいと思います。

 ただ、結果だけを求めると焦りや力みにつながってしまいますから、メンタルの持ちようも大切です。その打席のなかで何を得るか。得たことを次の打席、次の試合に活かすにはどうすれば良いかを常に考えながら、打席に入ってもらいたいと思います。