今季、カープのショートとして抜群の守備力を武器に活躍する矢野雅哉。兄・幸耶さんは、現在、社会人野球『三菱重工East』硬式野球部で活躍している。7月末から都市対抗野球2024に臨むチームをキャプテンとして引っ張る幸耶さんが、弟・雅哉の素顔を語る。(全2回・後編)
◆『プロに行けば何かしら結果を残せる』と信じていた
雅哉は亜細亜大でプレーしながらプロに注目される存在になっていましたが、いろいろな方から「指名されるだろう」という声も聞いていました。ですが、指名されないと僕もショックですし、「頼むから下位でも良いからプロに行ってくれ……」と思っていました。ドラフト当日は家族が全員祈るような気持ちで見ていたのですが、カープから指名されたときは本当にうれしかったです。弟は対応能力が高いと思っていますし、『プロに行けば何かしら結果を残すことができる』と、信じていました。本当にカープに指名されて良かったと思っています。
プロに入ってからも頻繁に連絡は取り合っています。僕は今、守備をメインに考えてプレーしているので、守備の事に関して話をするときは2人で言い合いをしています(笑)。テレビでいつも雅哉のプレーを見ていますが、雅哉が打てなかったりすると悔しいですし、腹が立つので……野球の話をしがちです。雅哉からも連絡がありますが「そっちから見たらどんな感じ?」と聞かれることもあります。
プロの世界で、当然良い成績を残してほしいと思って見ていますが、だんだんと打席でも守備でも余裕が出てきたなと思って見ています。いつも「こうしたら良いのにな……」と1人でブツブツ言いながらテレビでプレーを見ています。ショートとして試合に出ている雅哉の隣には菊池(涼介)さんもいますし、何も言う事はないです。正確性もそうですが、荒っぽさがなくなってきたなと思います。昔は肩が強くてそれに頼っているようなプレーに見えていたんですが、今は体をうまく使って、理に適った送球をしているように思っています。
今シーズン、一軍の試合に出る機会が増えていますが『今しかないぞ、今年だぞ』と思って見ていますし、雅哉もそう思っていると思います。謙虚に今まで通り守備から入っていけば、絶対にやっていけると思っています。
今、僕自身は社会人野球の世界で選手としてプレーをしていますが、雅哉から良い刺激をもらえています。あいつが試合でヒットを打てば、自分も次の日に打ったり「あいつが打ったら俺も打ったろ」と、良いマインドで試合に臨むことができています。
雅哉はカープでムードメーカーとしても頑張っていますが、そのままチームを盛り上げていきながら、目指すは菊池さんのようにゴールデングラブ賞を10年! これしかないですね。菊池さんについていけば、絶対に大丈夫だと思います。改めて弟には「心配すんな、全てうまく行く!」と言ってやりたいです。
◆矢野幸耶 (やの・ゆきや)
1994年7月30日生、大阪府出身。福岡第一高-北陸大-三菱重工East硬式野球部。福岡の名門・福岡第一高時代は、キャプテンとして活躍。現在プレーする三菱重工Eastでは主に上位打線を打ち、セカンド、ショートで堅実なプレーを見せる右投左打の内野手。2019年にはアジアウインターリーグに出場。2022年日本選手権では首位打者を獲得。2023年にはアジア選手権に社会人侍JAPANに選出された。