下馬評を覆し、夏場まで首位を走った2024年の新井カープ。リーグ随一の防御率を誇った投手陣だったが、9月に入ると一転して不調に見舞われ、苦しむ試合が続いた。流れを引き戻せないままチームは4位に沈み、2年ぶりのBクラスでシーズンを終えCS出場も逃す結果となった。カープOB・大野豊氏が考える、3年目の新井カープに必要不可欠なものとは?(全2回/第2回)

9月15日に先発としてプロ初登板を果たし、5回1失点の好投で初勝利を挙げた常廣羽也斗

『真の4番』の存在は必要不可欠。しっかり鍛えるキャンプに期待

 来年の新井カープは、『4番を打てる打者』をつくる必要があります。若い選手たちは、走塁や守備は一軍レベルでも、打撃の面が物足りない選手が多く見受けられました。走れても、守れても、まずは打てないことにはスタメンではつかってもらえません。

 ここから秋季キャンプ、春季キャンプでどのように打撃を鍛えていくのかが、来季を見据えるうえで非常に大切なポイントです。

 大失速の原因は、野手だけでなく投手も含め、個々の選手に原因があると考えます。全選手が反省する必要がありますし、自分たちに欠けているもの、足りないものは何か?ということに、改めて向き合う必要があるでしょう。悪かったことを受け止め、肝に命じて、考え方や技術の面で、それぞれが変わっていかなければなりません。

 一方で明るい兆しとしては、最終戦では滝田一希や高太一といったルーキー投手たちが、一軍登板の機会を得ました。スタメンで起用された内田湘大や仲田侑仁といった1年目の野手たちも首脳陣とファンの期待に応え、非常に希望の持てるプレーを見せてくれました。ルーキーだけでなく、3年目の黒原拓未など、ここからが楽しみな投手も増えてきています。

 野手陣に芽を向けても、シーズンを通して若い選手たちをけん引し奮闘してくれた秋山翔吾や、全試合でスタメン出場を果たした小園、ケガから復帰直後には大砲として機能してくれた末包昇大など、来年の活躍を大いに期待をしたい選手は大勢います。遊撃として定位置をつかんだ矢野雅哉の粘り強さやハッスルプレーなどは、まさに今シーズンのカープを象徴していたと言えるでしょう。

 個々に素晴らしい力があり、ここからが楽しみな選手は非常に多いのですから、まずはキャンプで自分たちの課題と向き合い、しっかりと鍛えて、2025年シーズンは今年以上の飛躍を見せてもらいたいですね。そして来年こそは、ファンのみなさんと喜びあえるようなシーズンになることを期待したいと思います。