新型コロナウイルスの収束に向け尽力する病院への表敬訪問。またオンラインを活用して子どもたちとつながる企画を発案するなど、公式戦の中断期間中も佐々木翔は率先して地域貢献に努めてきた。その行動の根底には、2016年3月に負った右膝前十字靭帯断裂による長期欠場の経験があったという。コロナ禍の影響を受ける選手もいるなか、ケガから学んだ前向きな思考が新キャプテンをポジティブな方向へと導いた。

昨季までのチームメートである渡大生選手と対峙する佐々木翔選手。

◆ケガから学んだ前向きな思考

他のクラブなどでは中断期間に状態を落とす選手も少なからずいたそうです。佐々木選手は大きなケガで長期の欠場も経験されていますが、そのときの経験が今回活きた部分もありますか?
「はい、それはあったと思います。ケガのときもそうですけど、サッカーができない状況下で『やりたい』という感情を持ったとしても無理なものは無理なんです。ケガをしたときに多くを学んだので、今回この新型コロナの影響でサッカーができない時期でも『じゃあ、そのときに何ができるのか』と前向きな思考を持つことができました。それが先ほどの地域貢献という部分につながったと思います」

約4カ月の中断期間で、今後も厳しい日程が続きます。結果を残す上で、改めて重要になってくるものは何でしょうか?
「やはり健康面は大事になると思います。僕らがウイルスをもらわない、伝染させないというのが非常に大事になりますよね。Jリーグが全員のPCR検査をやってくださり、観客の方たちもいろいろと細かなことに気を配りながら観戦してくださる中で、僕らが節度のない行動をして感染するというのは絶対に避けなければなりません。『コロナ禍の中でもサッカーをやらせてもらっている』という部分は非常に重要だと思うので、プロとして常に節度を持った行動をする責任があると思います。試合について言うならば、やっとサポーターの方にサッカーを見せることができる立場になったので、我慢していたものをしっかりピッチ上で発揮してタイトルを目指して頑張っていきたいと思います」

甲府から移籍した15年以来、優勝から遠ざかっています。中心選手として優勝への強い思いもあるのではないでしょうか。
「そこに関しては毎年、変わらず強い意識を持っています。非常に難しいですけど、そこを目指してやることが僕たちがサッカーをしている理由でもあるので、今後も強い気持ちを持って戦っていきたいと思います」

では、最後にサポーターへのメッセージをお願いします。
「シーズンの序盤だけではなく継続して結果を残したいですし、タイトルに向けて良い流れを今後もつくっていきたいと思っています。県民の方たちのためにも勝つ姿をお見せして、広島を盛り上げていければと思うので応援、よろしくお願いします」