豊富な日本代表経験を持ち、日本人ビッグマンとして大きな期待を集める新星がいる。プロキャリア2年目にして、初のB1の舞台へとステップアップを果たした市川真人だ。厳しいポジション争いのなか、迷いなくシュートを放つ若きビッグマンの足跡と今シーズンの目標について話を聞いた。(全2回/第2回)
◆もっともっとステップアップして、他の選手を支えられる存在になっていきたい
─今季はB1の舞台でプレーする1年目のシーズンですが、ここまでの手応えと課題を教えてください。
「やはりB1は動ける選手も多く、体の強い選手が多いという印象です。僕自身はまだまだ出場時間は短いですが、そのなかでも、良くないミスをしてしまっていることがあります。まだまだ試合に対する準備が足りていないのではないかと思っていますし、特にディフェンス面では課題も多いと感じているので、そこを強化していきたいですね。逆に手応えを感じているのはオフェンスの部分です。試合の最終盤で途中出場しても迷いなくシュートを打てるのは、広島に来てから変化した部分だと思います」
─迷いなくシュートが打てるようになったのには、何かきっかけがあるのでしょうか。
「周りのチームメートから、『打つのが仕事だ』とか、『いけるときはどんどん打って良いよ』と声をかけてもらえるのは大きいですね。もちろんタイミングはありますが、みんなに『打って良いよ』と言ってもらえるので、安心してシュートを打ちに行けているという感じです」
─ブースターのみなさんには、ご自身のどんなところに注目してほしいですか?
「やはり試合ではスリーポイントを見てもらいたいです。ただ、それ以外にも実は注目してもらいたいところがあって……。実は僕、試合前のアップの時に全部ダンクシュートに行っているんです」
─そうだったんですね。ダンクシュートには、何かこだわりがあるのでしょうか。
「こだわりというのもありますが、学生の頃から、試合の前に自分のモチベーションを上げるために『アップで飛んでおこう』という気持ちでダンクシュートをしてきました。ただ、広島ではロバーツ・ケイン選手のダンクがめちゃめちゃすごくて! とにかくすごく飛ぶし上手いので、彼の後でダンクをするのは、ちょっと気が引けるんですよね(笑)。あのダンクを見てしまうと、『自分がここでダンクしてもな……』と思ってしまって。そこはいつも悩むところです(笑)」
─近くでプレーするからこその悩みですね。では最後に、今シーズンの目標を教えてください。
「チームとしては、レギュラーシーズン、天皇杯、東アジアスーパーリーグ(EASL)と他のチームでは経験できないようなスケジュールでの試合をさせてもらっています。目標はもちろん『三冠』ですが、なかでもレギュラーシーズンに関して言えば、『連覇』も目標になってくると思っています。僕自身は、ハードなスケジュールでプレーをしている他の選手たちをしっかり支えられる存在になっていきたいです。出場時間が長くなるとケガなどのリスクも上がってしまいますから、自分がもっとステップアップして、チームに貢献できればと思っています。個人的な数字の目標では、スリーポイントの成功率を上げていきたいです。今は成功率が30パーセント前後なので、38%から40%に上げて行くことを目指しています。それから、いつか試合でダンクシュートを決めたいという、ちょっとした願望もあります」
─ちなみにこれまでのプロ人生で、ダンクシュートを決めた経験は?
「ないんですよ、それが(笑)。プロ初のダンクシュートを決められるように頑張るので、ぜひ、そのあたりにも注目してもらえればと思います。これからも応援よろしくお願いします!」
市川真人(いちかわ・まさと)
2001年9月20日生、静岡県出身、ポジション:C/PF 背番号:1
静岡学園高ー白鷗大ーベルテックス静岡 (特別指定)ー広島ドラゴンフライズ
中学から本格的にバスケットボールを始め、アンダー世代の日本代表に複数回選出される。2023年にはA代表として、中国・杭州で開催されたアジア競技大会に出場した。2メートルを超える長身を武器に、ダイナミックなプレーで勝利をたぐり寄せる。