カープの監督に就任した佐々岡真司新監督

緒方孝市監督の辞任会見から1週間、カープに新たな指揮官が誕生した。第20代監督に指名されたのは、今季一軍投手コーチを務めた佐々岡真司氏。故長谷川良平氏以来、53年ぶりとなる投手出身監督の誕生となった。

「プロ野球に入る時に本当に好きな球団に入ることができて、18年間も選手をさせてもらい、そしてこの5年間コーチもして、最後に監督業を任させるというのは、そんなにプロ野球界でもできない仕事、ましてや好きな球団でできるという喜びが自分の中にあります」

島根県出身の佐々岡新監督にとって、カープは子どものころから憧れの球団だった。小学校の文集には、いつも将来の夢として『プロ野球選手』と書き、浜田商高時代は12球団のスカウトが視察に訪れるまでに成長した。だがテレビで見た同い年の桑田真澄氏、清原和博氏に衝撃を受け、「彼らには敵わない」と思った新監督は、指名あいさつに訪れたスカウトに断りを入れる。それでもプロに対する憧れは捨てきれず、オファーのあった3社の中から実家にほど近い広島のNTT中国に入社した。

社会人野球時代は肩の故障もあり、入社3年目までは指名を見送られた。それでも4年目にソウル五輪直後に日本代表に選出されたことがキッカケとなり、注目選手としてドラフト指名が現実的なものとなっていった。現在と同じく逆指名がなかった時代だけに、「カープ以外に指名されても入団しません」と公言していた。89年といえば野茂英雄、佐々木主浩、与田剛、小宮山悟、古田敦也、岩本勉、石井浩郎、前田智徳、潮崎哲也、元木大介……と大豊作の年。そんな中、カープが1位で指名したのは相思相愛の佐々岡だった。