3月18日、MLBが東京で開幕する。ドジャースには大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸が所属し、対するカブスには今永昇太、鈴木誠也がいる。両チームの主力に日本人選手がそろい、日本国内での注目度は過去のMLB開幕シリーズと比較にならないほど高まっている。
開幕戦だけでなく、ワールドシリーズまで存分に楽しむために、MLB.jp編集長の村田洋輔さんに今季のMLBの見どころを伺った。
◆大谷翔平の影響力と東京シリーズ
日本のMLB報道はどうしても大谷翔平選手に焦点が当たりがちですが、ある意味当然のことです。日本人選手である以前に、大谷選手は今や現役MLBナンバーワン選手です。ネットニュースやワイドショーを見ても、大谷選手の影響力の大きさがわかります。MLB自体にはあまり興味がなくても、大谷選手の動向はチェックするという人も多いでしょう。
まずお話するのは、MLB東京シリーズについて。前年のワールドチャンピオンが来日するのは、松坂大輔投手や岡島秀樹投手が所属していたレッドソックスが、2007年に優勝し、翌年に来日して以来、今回が2チーム目となります。さらに、前年のリーグMVPがチャンピオンチームにいての来日は今回が初めてです。つまり、“最強のチームが最高の選手を引っ提げて”の来日というわけです。
運よくチケットを手に入れた方は、現在のMLBで最も強いチームと最高の選手を生で観戦できる貴重な機会です。また、これほど多くの日本人選手が主力として日本開幕戦に登場するのは前例がありませんので、まさに歴史的な瞬間を迎えています。ぜひ存分に楽しんでいただきたいですね。
◆今季の展望
シーズン全体を見れば、やはりドジャースが有力候補でしょう。個人的には、今世紀に入ってからまだ達成されていない、ワールドシリーズ連覇を期待したいです。ドジャースには、“MVPトリオ”の大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンを中心に、それを実現できる戦力がそろっています。
また、課題と言われる投手陣ですが、ブレイク・スネルと佐々木朗希が加入しましたし、昨年は途中離脱があった山本由伸やタイラー・グラスノーも非常に力を持った選手です。今年は大きな故障なく1年間戦い抜き、ワールドシリーズまで進んでくれたら、さらに面白くなるでしょう。
ドジャース以外でナ・リーグを見渡すと、東地区の優勝争いが注目です。フアン・ソトを獲得し、打線が更に強化されたメッツ、昨年のオールスターに史上最多タイの8選手が出場するなど、今まさに充実期にあるフィリーズ、一昨年“40本塁打・70盗塁”を達成したロナルド・アクーニャ・ジュニアや、エースのスペンサー・ストライダーがそろって故障から復帰するブレーブスも強力です。昨年はこの3チームがプレーオフに進出しており、非常にハイレベルな争いになりそうです。
西地区では、コービン・バーンズを獲得し、戦力を強化したダイヤモンドバックスも注目です。さらに、ダルビッシュ有や松井裕樹が所属するパドレスも戦力が充実しており、前評判ほどドジャースが独走できるかどうかは分かりません。東京シリーズを戦うカブスも、鈴木誠也、カイル・タッカー、イアン・ハップらの強力打線に加え、今永昇太、ジェイムソン・タイオンらの投手陣が噛み合えば、上位進出の可能性は十分にあるでしょう。
ア・リーグでは、MVPのアーロン・ジャッジが所属するヤンキースが優勝候補の筆頭でしたが、エースのゲリット・コールがトミー・ジョン手術で離脱したことで、一気に混戦模様となりました。菅野智之が加入したオリオールズは、ガナー・ヘンダーソン、アドリー・ラッチマンら若い主力が多く、勢いのあるチームです。東地区はこの2チームの争いになりそうです。
西地区では、レンジャーズも有力です。ジェイコブ・デグロムが復帰すれば、コーリー・シーガーやアドリス・ガルシアら強力打線との相乗効果で、2年ぶりのワールドシリーズ進出が見えてくるでしょう。
これだけ多くの日本人選手が主力として開幕戦を迎えるのは歴史的なことですが、MLBには他にも素晴らしい選手が大勢います。日本人選手だけでなく、リーグ全体に目を向けてみると、よりMLBを楽しめるはずです。