2025年シーズンで就任3年目を迎える新井貴浩監督。昨季、新井カープは夏場まで首位争いを演じていた。しかし優勝が見えた9月戦線で失速。4位に終わった。 今季はチーム改革、若手育成等、様々な事が求められる。 昨シーズン後に聞いた新井監督の思いをお送りする。(全3回/1回目/取材2024年12月)
◆課題が明確となった2024年
─まず、2024年についてお伺いします。率直にどんなシーズンでしたか?
「悔しいシーズンだったことは確かですよね。特に9月。本当に悔しかったですね……」
─8月までは首位を走るなど、優勝争いを演じていました。監督としては狙い通りの戦いだったのでしょうか。
「昨季は就任1年目の反省があっての戦いでした。2023年は『いくぞ!』という8月、9月に野手が軒並み離脱してしまいました。その反省を踏まえた上で、2024年は休ませるところで休ませる、投手であれば先発はなるべく登板間隔を詰めず、リリーフは3連投を避ける、そういった起用法で8月まではプランに近い形で勝負の9月を迎えることができました。『よし、9月いくぞ!』というところから、あのような結果になってしまったこと。まずは監督である自分の力の無さです。そして、チームの底力の無さ、それもはっきりしたなと。ただ、選手は本当に良く頑張ってくれました。2024年開幕前の下馬評も低かったですが、8月まで首位争いができたというのは、選手たちがフルに力を発揮してくれたからこそです」
─最終的に悔しい結果に終わり、チームマネジメントに対する考えに変わりはありましたか?
「やはり、新しい力。これを育てていかなければいけない。そう思いましたね。これは2025年シーズンだけではなく3年後、5年後、カープの未来を見据えたときにやっていかないといけないことです。そういう意味では、2024年の結果を踏まえて、これからやっていかなければいけないことが、はっきりしたと思います。課題が明確になったということですね」
─シーズン最終戦ではプロ初出場の選手を複数スタメン起用するなど思い切ったオーダーでした。そのような考えが反映されているように感じました。
「あの試合は順位も決まってしまっていましたからね。勝ち負けを度外視して、1試合でも1打席でも経験してもらいたいという狙いで若い選手を起用しました。新鮮でしたよね。(仲田)侑仁なんて、4番スタメンだと思っていなかったでしょうし、彼にとっては一軍での経験はすごく貴重だったと思います」
─最終戦直後のスピーチは、新井監督の決意表明と感じる内容でした。
「自分はその都度、自分に正直に発信しなければいけないと思っています。ですので、1年終わって自分が感じたこと、これからどうしていかなければいけないか? ということ、それを素直に言葉にしただけです。特に考えていたわけではありません。申し訳ない結果に終わったにも関わらず、ファンの皆様からも『頑張れ』といった声もありましたが、もちろん聞こえていました。本当にありがたいですし、改めて温かさを感じました」
(第2回に続く)