2025年シーズンで就任3年目を迎える新井貴浩監督。昨季、新井カープは夏場まで首位争いを演じていた。しかし優勝が見えた9月戦線で失速。4位に終わった。 今季はチーム改革、若手育成等、様々な事が求められる。 昨シーズン後に聞いた新井監督の思いをお送りする(全3回/3回目/取材2024年12月)
◆時間がかかってでも若手育成
─オフのドラフトでは8選手の指名となりました。
「自分たちの弱い部分を補強するということで、ドラフト1位の佐々木泰(青山学院大)をはじめ大学生野手を2人指名できました。投手では2位指名の佐藤(柳之介・富士大)も即戦力だと聞いていますし、良いドラフトだったと思います。高校生の菊地ハルン(千葉学芸高)と、小船(翼・知徳高)も非常に良い素材の投手です。2人とも見上げないといけないですから。なかなか私も見上げたことはないですよ(笑)。時間はかかるかもしれませんが、焦らず、1日1日を大切に、野球に没頭してもらいたいですね」
─新外国人選手は野手2選手、投手1選手を獲得となりました。いずれもドミニカ出身選手でした。また、現役ドラフトでは2選手の獲得となりました。
「やはりパンチ力がある右打者というのは、現状のチーム編成上欲しい選手です。彼らが早めにアジャストしてくれると、また2024年とはガラっと変わるかもしれませんね。やはり当たれば飛ぶという打者が打線にいれば、相手バッテリーに対するプレッシャーも全然違ってきます。昨年までは単打が多かったですし、本塁打は12球団で最も少ないですから、相手からすれば組みやすかったと思います。どんどんストライク先行で攻められていました。そこで、彼らが力を発揮してくれると、戦い方も変わってくると思います。ただ、これは寂しい部分もあります。まだ日本で1打席も立っていない外国人選手に過度な期待は禁物ですが、やってくれそうだなと、期待しています。現役ドラフトについては、縁があってカープでプレーするわけですし、環境が変わることによって殻を破るきっかけになると思うので、彼らの奮起も楽しみにしています」
─さまざまなことが変化するシーズンとなりそうですが、監督自身の考え方はいかがでしょうか。
「基本的には変わらないですよね。その都度感じた通りに自分は動いていこうと思っています。1年目、2年目の反省点というのがあるので、それを踏まえた上でやっていきたいと思っています」
─戦略についての変化はどのようにお考えでしょうか。
「こちらからやれることは限界があります。たとえば機動力という面ですごく選手を動かしてきましたが、今は投手もクイックが上手いですし、なかなか走れなかったりします。リスク覚悟で動かしましたが、なかなか機動力を発揮する場面も難しくなってきていました。そう考えると個々の打撃を上げていかないと厳しい戦いが強いられると感じたので、秋のキャンプでしっかりと、特に若い選手に振り込ませたいと感じました。だからこそ、冒頭に言ったように、新しい力の台頭です。自分もそうでしたが、特に野手の成長には時間がかかります。もしかしたら、もっと点が取れなくなるかもしれないですが、この先のカープを考えたときに、自分がやらないといけないことですからね」
─2月1日からの春季キャンプは例年とは違う動きもあるのでしょうか。
「春のキャンプは競争が激しくなると思います。特定の選手にたくさんチャンスを与えることもできなくなると思います。そういう意味でも、競争ですよね。今までであれば、20打席、30打席チャンスがあったかもしれないものが、10打席しかチャンスがない。そういうこともあると思います。後の選手が控えているよと。ですから、競争が激しくなり、厳しくなり、いろんな面でよりシビアになるでしょうね」
─2025年の新井カープのどのような部分に期待してカープファンのみなさまに見てほしいとお考えでしょうか?
「もちろん優勝を目指すことが大前提です。そして新しい力ですね。(鈴木)誠也(現カブス)みたいに一気にバーンと跳ね上がるような選手がたくさん出てくるというのは、難しいかもしれないし、少し時間はかかるかもしれません。ですが、そういった若い選手たちの成長を楽しみに見ていただきたいです」