開幕以降、負けなしを記録しているサンフレッチェ広島。新加入選手たちの躍動もあり、リーグ戦ではここまで上位をキープしている。ここではサンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏が注目選手をピックアップして解説する。今回は、昨シーズンJリーグアウォーズで優秀選手賞にも輝いた新戦力、田中聡を紹介する。
◆『1選手の補強』以上の補強。周囲にもたらす影響に期待大!
新戦力も加わった今シーズンのサンフレッチェ。ACL2は悔しい敗退となってしまったものの、FUJIFILM SUPER CUP2025優勝、そしてリーグ戦はここまで負けなしと良い波に乗れているのではないでしょうか (3月18日時点)。現有戦力を含め、もちろん全ての選手に注目したいところですが、今回は新加入選手のなかから特に注目の選手に触れていきます。
悲願のリーグ優勝を目指す2025シーズン、サンフレッチェには菅大輝 (←札幌)、ジャーメイン良 (←磐田)、田中聡 (←湘南)、井上潮音 (←横浜FC)の4選手が新たにチームに加わりました。
今回取り上げるのは、湘南から完全移籍で加入したMF・田中聡です。どの選手も実績があり期待値の高い選手たちばかりですが、なかでも彼の加入はチームに非常に大きな影響を与えているのではないでしょうか。
昨シーズン勝ちきれなかった試合では、やや劣勢になった時にボールを落ち着かせたり、守備の場面でしっかりとボールを刈り取れる選手がいなかったことも要因の一つにあげられるのではないかと思います。昔の広島でいうところの、ドクトル・カズ (森﨑和幸C.R.M)のような存在です。
田中聡が加入したことで、ボランチの位置で相手の攻撃の芽を摘むことが期待できるようになります。例えばシステムが2ボランチであれば、田中聡が特に守備のパートを担うことで、もうひとりのボランチ選手がより攻撃的にプレーすることができますし、その逆もまた然りです。同じくボランチである川辺駿の持ち味は前への推進力ですが、昨季はバランサーとしての役割を果たそうとして、なかなか本来の強みを発揮できなかった印象がありました。そこに田中聡が加入したことで、川辺本来の強みである、前への推進力をより活かすことができるようになるはずです。
また川辺だけでなく、周りの選手の能力がより活きてくるのではないかと考えると、田中聡の加入は、『1選手の補強』以上の補強になったのではないかと思います。リーグ戦でもさっそく素晴らしいプレーを見せてくれていますが、彼のこれまでのスタイルをそのまま出すことができればさらなる結果につながっていくのではないかと思います。