思わず心を奪われる! カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、新たなカープの魅力を切り取る。
今回は、3月28日に開幕したプロ野球開幕戦で、初登板を果たした岡本駿投手をはじめ、“中継ぎ投手”について、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。
◆2025年ルーキー・唯一の“開幕一軍”を勝ち取った投手
2025年のシーズンが始まった。カープは開幕戦で阪神に0-4で敗れたが、開幕戦での勝利が必ずしも最終順位に直結しないことも、逆に三連覇中の2016年、2017年はいずれも開幕黒星スタートだったことも心得ている古株ファンすなわち私は、落ち着いた気持ちで見守っている。
そんな今年の開幕戦でひときわ目を引いたのが、ルーキーで唯一開幕一軍の座を勝ち取ったドラフト3位の岡本駿であった。9回表に登板した岡本は、矢野雅哉の好守にも助けられ、1回を無失点に抑える好投を見せた。「大型新人野手が開幕戦スタメン出場」というのは割とよく聞く話だが、新人投手が開幕戦で投げる、というのはめったにないことではないだろうか。
以前にも当コラムで触れたが、先発の「開幕投手」は、その球団のエースが務めることがほとんどであり、そこに入団したばかりの新人投手が抜擢されるということはまずない。カープでは創設期の1951年に熊谷組出身の新人・杉浦竜太郎が、翌1952年には高卒新人の大田垣(のち備前)喜夫が、それぞれ開幕投手を務めて完投勝利を飾っているが、その2例のみである。
開幕一軍メンバーに入った新人投手に、もし開幕戦で投げる機会があるとするならば、大抵は中継ぎでの起用ということになるだろう。しかもいわゆる『勝ちパターン』ではなく、ビハインド時や大差で勝っている時などの起用ではないだろうか。
カープでこれまで開幕戦に中継ぎ登板した新人投手は、今年の岡本を含めて5名いる。その内訳は
・土居正史(1977年)6点ビハインドの3番手として登板、1回1/3で1失点
・小林幹英(1998年)3点ビハインドの2番手として登板、2回を無失点
・上野弘文(2007年)3点リードの3番手として登板、シーツ(阪神)に四球を与えて降板
・河野佳(2023年)2点ビハインドの2番手として登板、オスナ(ヤクルト)に本塁打を浴び1回1失点
・岡本駿(2025年)4点ビハインドの4番手として登板、1回を無失点
となっている。リードしている場面で登場したのは2007年の上野だけで、他はビハインドの場面での起用だ。そうすると大体の場合は、新人投手に勝ち負けはつかないことになる。ところが1998年の開幕戦(対中日)の場合、小林が投げた裏の7回に打線が爆発、一挙6点をあげてカープが逆転勝利を果たし、なんと小林が勝利投手となったのである。この結果は、当初の「前年の最多勝・山本昌と、史上最年長(当時42歳)の開幕投手・大野豊との投げ合い」という大方の予想を、良い意味で裏切るものだった。
そもそも『開幕投手』が完投すること自体が珍しくなってきた近年、開幕“中継ぎ”投手の存在はどのチームも重要になってくるはずだ(ちなみにカープでは過去76回の開幕戦のうち、先発投手が完投したのは22回。1953年、1954年の長谷川良平のように、昔は完投負けなどということもあった)。今回の岡本の好投に希望を抱きつつ、今後も開幕戦において、ビハインドの場面のみならず、さまざまな中継ぎ機会にルーキーが抜擢され、活躍することを願っている。