プロ1年目から着実に成長を遂げ、昨季はJリーグアウォーズで優秀選手賞も受賞。いまやJ屈指のプレーヤーとして名前が上がるようになった中野就斗。サンフレッチェ広島が誇る万能型DFが語った、自身の果たすべき役割とは。(全3回/第2回)
◆チームのために90分間、走る、戦う、それだけ
—昨季、クラブ公式SNSやYouTubeチャンネルに、中野就斗選手の巧みな足技などのプレーを集めた動画が『#中野たまらん』のハッシュタグ付きで投稿されるようになりました。
「サポーターのみなさんにメンションで教えてもらって見ました。まあ……あのくらいなら大したプレーじゃないですよ(笑)」
—昨季はJリーグ優秀選手にも初めて選出される活躍で、サポーターや解説者の方からは日本代表入りを推す声もありました。
「日本代表については、SNSでもたくさんメッセージをもらいました。でも選ばれていないのは、やはり力が足りないからだと思います。日本代表はサッカーを始めた子どもの頃からの夢であり目標ですが、もし選ばれたとしても、そこがゴールではなく、活躍してチームに貢献しなければいけません。それも含めて考えると、自分がやるべきなのは、日々成長していくことだけです」
—昨シーズンからは、右サイドに加えて3バックの右や中央でも起用されていて、試合中にポジションが変わることもあります。起用法によって自分の中で変えていることはありますか。
「ポジションがどこであっても最大限の力を出す、やるべきことを90分間やり通すことが自分のプレースタイルだと思っています。自分の特徴はチームのために走る、戦う、それだけです。これはポジションがどこでも変わらないので、その点で言えば、やるべきことは頭の中で整理できています」
—『走ること、戦うこと』はまさに中野選手の持ち味ですが、それを意識するようになったのは、何かきっかけがあるのですか。
「大学時代は、ある程度のレベルのプレーができれば通用しました。でも、うまい選手がたくさんいるプロの世界で生き残っていくために、またチームのために自分に何ができるかを考えたら、うまくない自分にできるのは走ること、戦うことです。プロの中で自分が突出する、上に行くためには、そういう部分が大切だと感じているので、意識しています」
—走り、戦うためにはコンディショニングが重要ですが、冒頭にもあるように今季は開幕直後から過密日程となっています。何か意識して取り組んでいることはありますか。
「リカバリーも大切ですが、ご飯をたくさん食べて、たくさん寝る、それに尽きますね。試合後は疲れていて食欲が湧かないですし、アドレナリンが出て睡眠も思うように取れないときがあるのですが、今後に響いてくるので、頑張ってご飯を食べて、眠くなくても布団に入って体を休めるようにしています」
(第3回へ続く)