プロ6年目の塹江敦哉が、回またぎも辞さない投球を見せ今季2勝目をマークした。長野久義の3点本塁打で同点に追いついた直後の7回裏、ピンチを招いた薮田和樹の後を受けてリリーフ登板。申告敬遠で2死満塁となったものの、持ち味である150キロ超の直球で空振り三振を奪い、ピンチの芽を摘み取ってみせた。

7月8日のDeNA戦でプロ初勝利をマークした塹江敦哉投手。

 リリーフ陣が安定しない状況下で、回をまたいだ8回も無失点に抑えチームの勝利に貢献した。7月中旬からやや調子を崩していたが、思い切り左腕を振り抜くことで最良の結果を引き寄せてみせた。

 今季は徐々に勝ちゲームでの登板を増やすなど存在感を示しているが、プロ入りからこれまでの道のりは決して平坦なものではなかった。ルーキーイヤーから球速は150キロを計測し、2年目の2016年には3試合ながら一軍登板も経験した。高卒投手としては順調な成長曲線とも言えるが、以降はマウンド上で一進一退を繰り返していた。

 プロ3年目の2017年シーズンは春季キャンプの段階で、先発ローテーションの候補として期待をかけられた。ところが結果を追い求めるあまり、自身の持ち味を自らの手で消してしまっていた。この時点での自己評価をこのように話していた。

「春季キャンプでは腕を振ることができずスピードが出ませんでした。自分の良いところを消して結果を出そうとしていました」

 勝負するのではなく、球を置きにいく状態では持ち味は生きない。スピードが乗らない上に、四球を出した直後にストライクを取りにいって痛打される。昨季、3年ぶりに一軍登板を果たしたものの、長年の課題は突きつけられたままだった。