開幕直後こそ連敗を喫したものの、4月には一時首位に立つなど好調な滑り出しを見せた新井カープ。ここではカープOB・大野豊氏が独自の目線で今のカープを解説する。(全2回/第2回)
◆機動力を活かし、攻撃のバリエーションを増やす
私は現役時代、シーズン開幕直後から不調だったという経験はあまりありません。スタートダッシュは非常に大切ですから、いかに良い形でシーズンに入っていくかを考えて調整を進めていました。特に体づくり、体調づくりは非常に気を遣っていたので、春先は良い状態を維持できていたと自負しています。
まだまだペナントレースは始まったばかり。あまり先のことを意識しすぎる必要はありませんが、ここまで思うような結果を残せていない選手や、なかなか状態が上がりきっていない選手には、ここからさらに奮起していってもらいたいと思います。
特に打線は、昨シーズンからも話しているように『一発が期待できる選手』が手薄であるのがカープの現状です。いかに全員でつないで1点を返していくか、ということも重要になってくるでしょう。
個人的な意見としては、機動力をもっと使っても良いのではないかと感じています。ここでいう機動力は、盗塁だけではなく、エンドラン、スクイズなども駆使して相手バッテリーにプレッシャーをかけるような攻撃のバリエーションです。
長いシーズンを戦う上では、そういった攻撃をうまく組み合わせながら戦っていかなければ、取れる点も取れなくなってしまう可能性があります。選手個々の能力を含め、作戦面でも考えていく余地があるのではないかというのが、シーズン序盤を見てきた印象です。そして、相手に「カープは何を仕掛けてくるか分からない」と思わせる野球を展開することは、選手自身の引き出しを増やすことにもつながっていくと思います。
末包昇大やファビアンも、この先活躍してくれそうな期待感があり、田村俊介もプロ初本塁打がサヨナラ弾になるなど、良い場面で打ってアピールしています。そういう意味では、調子の良い選手が活躍している間に、まだまだ波に乗り切れていない選手たちには状態を上げて、いかに全員でチームの勝利に貢献できるかという点に注力していってもらいたいと思います。