一方で個人記録は多くのリーグトップの数字を残した。ベスト6にはGK大塚一佐、DF佐藤大翔、FWに古橋と寺尾の最多の4人が選出。鈴木が20得点で2シーズンぶりに得点王に輝いたほか、古橋が最多ポイント賞とアシスト賞、得点、ポイント、アシストのすべてでトップ5にアイスバックスの選手が3人以上入っている。GKは2年目の大塚が92.81%のセーブ率をマークして1位だった。今シーズン、FWは北海道ワイルズから日光市出身の大津晃介が加入、リーグ屈指の布陣とも言われ総得点は最多の118点を挙げている。
しかしここでも課題がある。得点のほとんどを上位セットで挙げているのだ。首位のアニャンは総得点115点、アシストとポイントこそ最優秀選手賞のキム・サンウクがリーグ2位だが、ゴールランキングでは8位が最高位となっている。つまり上位セットから下位セットまでどこからでも得点を挙げていることになる。アイスバックスに今後求められるのは若手の成長だ。今シーズンはアイスタイムが増えたFW清水怜や伊藤俊之らが体を張って自分の仕事を全うする姿が印象的だった。鈴木は「自分のプレーを確立した」と評価、古橋も「今は数字に現れない貢献をしているが、それが数字に現れるようになるとアイスバックスの強みになる」と言う。一方、守備にも課題が残る。キルプレーの防御率は首位でありながら、全体の失点数はリーグワースト2位。シーズン後半に大量失点が目立ち、DFの要の1人である相馬秀斗は「失点するとネガティブな発言が選手間で伝染してしまった」と反省する。1対1のバトル、素早いプレッシャーなどDFだけではなく全員の守りの意識を高め、数的にイーブンの時の失点をいかに減らすかが鍵になる。
2月の東北戦では第3ピリオドで4点のビハインドから逆転勝ちをする強さも見せた。シーズン最後となったアニャンとの2連戦は押し込まれる場面もある中、プレッシャーもバックチェックも早く、相手より早くパックに手を伸ばし、「相手の嫌がるプレー」で最後まで戦い抜き2連勝している。シーズン最後に「もったいないシーズンだった」と口にしたキャプテン鈴木。技術はあるのに勝てない、プレーオフに行ける力はあったと思う反面、今シーズンはこれが限界だったのかもしれないと言う。課題は明白。アイスバックスのチャントには「さぁ行こうぜ 闘えバックス 新しい歴史をその手で刻め」という歌詞がある。日光のアイスホッケーの歴史が100年を迎えた新シーズン、霧降のファンの後押しを力に変えてアジアリーグ優勝という新しい歴史をその手で刻むことを期待したい。