昨季、高い守備力とユーティリティーさを武器に、80試合出場を果たした二俣翔一。オープン戦では打撃面で猛アピールを見せ、初の開幕スタメンの座を射止めた。開幕直後に自打球が顔面を直撃して負傷も……翌日志願の出場などド根性を見せた。ポジション奪取の好機を逃すまいとガッツを見せ続ける、背番号99の素顔に迫った。(全3回/第1回)

開幕直前、今シーズンへの思いを語った二俣

開幕前日に伝えられた、『一番・ライト』での開幕スタメン

─2025年シーズンは、プロ入り後、初の開幕一軍となりました。率直にどのような気持ちでしたか?

「開幕前練習のときに藤井(彰人)ヘッドコーチから『明日(スタメン)一番でいくよ』と言われました。昨年いろんなポジションで出させていただいて、試合途中からの出場が多かったですが、やっぱりスタメンは目標にしていましたし、スタートから出ないと意味がないと思ってきました。ずっと開幕スタメンを目指してきたので、気持ちが上がりましたね」

─開幕を迎えるまでの調整を振り返ってみていかがですか?

「昨年秋のキャンプで打撃フォームを変えて、良い感じで終われたので、この感覚をキャンプを迎えるまでの3カ月の間で体に覚えさせて何とか自分のモノにしたいと思ってやっていました。2月のキャンプからオープン戦を過ごしていくなかで、新しい打撃フォームが自分に染み付いてきている感覚はあります。オープン戦で結果につながったこともありますし、とても良い調整ができたと思います」

─昨季はシーズンのほとんどを一軍で過ごしました。その経験は今季を迎えるにあたり、どう活かされていますか?

「昨年一軍にずっといさせてもらって本当に良い経験になりました。80試合に出させてもらって、試合に出ていないときもベンチからただ見ているだけではなくて、いろんなプレーを見たりするだけでも勉強になることがたくさんありました。収穫は守備ですね。いろんなポジションを守ったのですが『一軍でもやれるんだ』という自信がついたことが大きかったです。逆に守備のポジショニングは改善しなければいけないと感じました。打撃面は速いストレートへの対応ですね。最近の投手は150キロ超えが当たり前なので、それに対して自分がしっかりとアプローチできていなかった部分が多くて課題になっていました。それを踏まえて、秋のキャンプではその修正に取り組みました」

─打撃フォームの改良が話題となりました。改めてきっかけを聞かせてください。

「秋のキャンプで紅白戦が終わった直後に、藤井ヘッドコーチから『構えている時点で力が入っているように見える』と指摘されたんです。そのときに『もともとスローイングが良いんだから、投手が投げる動き、スローイングのようなイメージで打撃をやってみたら良いのではないか』と言っていただいたことがきっかけで、打撃フォームを変えていきました。最初は自分の中で打撃フォームというよりも『タイミングが合っていないのかな……』と感じていたんです。なので、藤井ヘッドコーチにアドバイスをいただいてから、ここまで打撃フォームが変わるとは自分でも思っていなかったです」

(中編へ続く)