昨シーズンの悔しさを胸に、一心不乱にバットを振り続けてきた田村俊介。3年連続の開幕一軍入りを果たした若武者は、外野の定位置奪取を目指し奮闘を続けている。4月5日にはプロ初となるサヨナラ本塁打を放つなどますます期待の高まる田村が、悔しさをバネに戦う今シーズンの目標を語った。(全2回/第2回)

試行錯誤を繰り返しながら、打撃向上に取り組む田村

◆目指すべき打撃は、ヒット狙いでの長打

─春季キャンプでは3月の途中に、二軍で調整を行う時期もありました。どのような思いで調整を行っていましたか?

「一軍での実戦では、打撃面でいろいろとやろうとし過ぎることが多くて、自分のなかの考えがまとまりきっていませんでした。二軍に行って自分なりに考えを整理していたら実戦で結果が出るようになりましたし、その後一軍に上がってからも結果が出たので、これが一番自分に合っているんだと感じることができました」

─どんな部分を修正したのですか?

「修正前は、タイミングを取る上でバットを柔らかく使うために、腕だけでバットを使おうとしていました。ですが、腕だけではなくて、体全体でバットを動かす感覚でタイミングを取るようにすると、体の動きの中でタイミングを取れて、球も捉えられるようになりました。感覚的に言うと早めにタイミングを取って球を捉えるという感覚が良くなりました」

─田村選手は外野手ですが、競争相手が多いポジションです。

「チームとしての競争意識は強くなっていると思います。個人的には競争と思いすぎると、やはり焦りも出てくるので。昨年まではその焦りがあって……『ヒットを打てていない。どうしよう』『二軍に落ちてしまう』だとか、メンタル的な焦りがあったので、ダメだったなと思っています。守備や走塁は自分が一番下手だと思っていますし、もっともっと練習をしないといけないと思います。打撃では自分しか持っていないところもあると思うので、とにかく打撃を積極的にアピールしていけば、自ずと良い結果につながっていくと思ってやっていきたいです」

─田村選手自身が考える自分の強みは何だと言えますか?

「左打者で長打を打てることです。ここが一番自分で求めているところです」

─今シーズンから田村選手のオリジナル応援歌ができました。

「キャンプの時に球場に向かって1人で歩いている時に、ファンの方から言われて初めて知りました(笑)。打席でも結構聞こえています。やっぱりうれしいですし、昨シーズンまでとは違う感覚になれます。『やってやろう』という気持ちになりますね」

─今シーズンの数字的な目標などはありますか?

「まず打率は、最低限2割5分は打ちたいという気持ちがあります。打率が上がっていけば、長打率も自然と上がっていくと思っていますし、出塁率なども含めて、率を求めてやっていきたいと思っています」

─打率を求めながら、長打も狙っていくということですね。

「ホームランだけを狙っている打席は全くないので、ヒットを打ちに行った中で、良いところに当たって長打になるのが自分の理想です。まずは率を求めてやっていく中で、自分の持ち味のパワーが重なって長打になれば良いなと思っています」

─現時点で、どのような打者を目指していきたいと考えていますか?

「ルーキーの頃からそんなに変わっていないですが、やはり勝負強いバッターになりたいと思いますし、チャンスで1本出せる選手です。『こいつが打席に立ったら安心だな』と思ってもらえるような打者を目指したいです」

─最後に今シーズンの意気込み、そしてファンのみなさんに向けてのメッセージをお願いします。

「昨シーズンはすごく悔しい思いをしたので、今シーズンは同じことにならないようにしたいと思っています。開幕してシーズン中に悪いときもあると思いますけど、良い状態が1日でも多く増えていけるような1年にしたいと思います。応援をよろしくお願いします!」

■田村俊介(たむら・しゅんすけ)
2003年8月25日生・21歳(プロ4年目)/京都府出身
左投左打/178cm・97kg/愛工大名電高−広島(2021年ドラフト4位)