リーグ戦、ACL2とゴールを量産するなど、瞬く間にサンフレッチェ広島にとって欠かせない選手となった中村草太。2トップやシャドーなど、複数のポジションで存在感を見せつける大卒ルーキーが、周りの選手たち、そしてチームを率いる指揮官の印象を語る。(全3回/第2回)

存在感を示し続ける中村草太

◆大学との大きな違いも感じつつ『もっと良くなる』感覚もある

−チームにはベテラン選手、外国籍選手、ユース出身選手、同世代の選手とさまざまな選手が所属していますが、印象的な選手を挙げるとすれば誰ですか?

 「やはりトルガイ・アルスラン選手です。技術も経験値も違いますし、同じFWというポジションでもあるので、そういう選手と一緒にプレーできるのは自分にとって学べるものが多いです。日々の練習でも、プレーに関することや試合前の気持ちの落ち着かせ方などをアドバイスしてもらえますし、常にポジティブな声かけをしてくれるんです。トルガイ選手を見ていると、チームのことを第一に思っているんだなということがすごく伝わってきます。今は故障でチームを離れてしまっていますが(5月9日現在)、また一緒にプレーするなかで、さまざまなことを学んでいきたいと思います」

−チーム全体を率いているスキッベ監督についてはいかがですか。

 「自分にとっては初めての外国人監督ということもあり、まだ少し考え方や価値観をつかみきれていないところはあるかもしれません。ただそれでも、トルガイ選手と同様にものすごくポジティブな声かけをしてくれますし、チームの雰囲気の良さが監督からもにじみ出ていると思っています。監督のそういう雰囲気が、僕たち選手やスタッフを含め、クラブ全体に伝わっているのではないかと思います」

−中村選手はここまで先発出場、途中出場とさまざまな場面やポジションで起用されています。起用の違いによって、気持ちにも違いはありますか。

 「ピッチでやるべきことは変わらないので、『チームや監督から求められていることを表現する』というのはスタメンでも途中出場でも変わりません。ただ、準備の面や気持ちの面では少し違いもあるのかなと思っています」

−中村選手が感じる『違い』とは、具体的にどのようなものでしょうか。

 「やはり最初から出るよりも途中出場の方が、試合の流れに乗るまで時間がかかる部分はあります。また、途中出場の選手には試合の流れを変える役割も期待されていると思うので、悪い流れであればそれを断ち切り、良い流れであればチームをもう一度勢いづけることも役割の一つだと思っています。途中出場の場合はスタメンで出場する時以上にそういった役割も意識しながらプレーする必要があるので、まだまだ試合中にいっぱいいっぱいになることも多いですね」

−ピッチ上では非常に落ち着いたプレーをされている印象ですが、中村選手も『いっぱいいっぱい』になることがあるのですね。

 「そうですね。やはり大学とは技術の面でも強度の面でも違うので、こればかりは慣れが必要なのだろうと感じています。自分としては、もっともっとプレー時間が増えてプロの試合に慣れていけば、さらに良くなるはずだと思っています」

(後編へ続く)