オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、MLBワシントン・ナショナルズのトレーナーを務め、メジャー時代は「マック(高島の愛称)はゴッドハンドを持っている」と高い評価を得たトレーナー・高島誠。この連載では、数々のプロ野球選手を指導してきた経験をもとに、これまで公では語られることのなかった、マック流・野球パフォーマンスアップの秘密を披露していく。

まずフライを打つ練習の前にやるべきこと

 野球専門のトレーニングジム「Mac’s Trainer Room」代表の高島誠です。『Mac高島の超野球塾』の連載をご覧いただき、ありがとうございます。

 前回のコラムでは、カープの4番・鈴木誠也選手の魅力を身体能力の面から紹介しましたが、今回は、鈴木選手のようなプレイヤーを目指している球児のみなさんに向けて、バッティング能力向上に役立つ考え方とトレーニングを紹介します。

 以前、大瀬良大地投手のカットボールを取り上げたコラムで『ピッチトンネル』という理論を紹介しましたが、同じように、ここ数年で、野球界で支持され始めている考え、そしてそれに基づく運動があります。それが『フライボール革命』です。

 『フライボール革命』とは、ゴロよりフライを打ったほうが安打になる確率が高いという考えを実践した運動で、その理論は大リーガーを中心に、数多くの選手に影響を与えています。そして『フライボール革命』では、25度から35度の角度の打球を打てばホームランになりやすいと言われています。

 しかし、その角度の打球をただ打てば、即ホームランになるほど野球は簡単ではありません。打球角度を上げる前にまずやるべきことがあります。それが『打球速度』の向上です。打球速度が遅く、打球角度の高い打球は、移動距離が短いフライとなります。要するに凡フライです。つまり、打球のスピードが速くないとホームランを打つことはできないというわけです。

 バッティングに必要なのは正確性と打球の強さ。打球速度を上げることは、バッティング能力向上に不可欠な要素といっても過言ではありません。

 打球速度を高めるうえで意識しないといけないのは、打球速度の“アベレージ”です。10回に1回、飛び抜けたスピードの打球を打つようではいけません。常に安定して速い打球を打てるようにしなければ実戦で活かすことはできません。

 打球速度が遅い選手は、まずは打球角度を落とすことをおすすめします。先ほども言ったように、スピードがないのに角度を上げ過ぎたら平凡なフライとなります。打球速度が遅い選手に関していえば内野の頭を超えるぐらいの場所に落ちる打球をイメージして練習するといいかもしれません。ちなみに、小学生や中学生だと、打球角度12度から17度くらいがヒットゾーンに落ちやすいと言われています。打球角度については親御さんや友達に撮影してもらい確認していくのが良いでしょう。

 参考までに、ラプソードが出している打球速度・打球角度・飛距離のデータを紹介します。いずれもアメリカの選手を対象としたものです(ラピソードについては、このコラムで何度も紹介していますので、過去の記事をご覧ください)。

データ元:Rapsodo(Rapsodo HITTING測定基準(試合形式データ))

 ご自身の打球角度や打球速度の詳しい数値を知りたいという方は、「Mac’s Trainer Room」のラプソードで正確に測ることができますので、一度お問い合わせください。