打球速度を上げるために必要なトレーニング

 続いて、打球速度を上げるためにおすすめのトレーニングを紹介します。打球速度の向上は、瞬発力系のカテゴリーなので、『ボックスジャンプ』や『メディシンボールスロー』がおすすめです。また、特殊なトレーニング器具になりますが『ペンタゴンバー』によるトレーニングも推奨しています。

 体全体の筋力が大きいほうが瞬発力も伸びやすいので、筋トレも一緒に行うとより効果的です。筋トレと瞬発系のトレーニングは片方に入れ込むのではなく、筋力をつけ体を大きくする一方で、瞬発系のトレーニングもしっかりと行い、速い動きにその体を慣らしていく必要があります。

 もう一つ加えるなら、コラムで何度も紹介している柔軟性のトレーニングです。“柔らかさ・強さ・素早さ”、この3つをバランスよく鍛えることで、おのずと打球速度はあがっていくはずです。

 打球速度と聞くと、素振りを想像された方も多いと思いますが、スイングスピードを上げるための“数をこなす素振り”はおすすめしていません。数をこなせばこなすほど、打球速度が上がればいいのですが、実際にラプソードで測ってみると、数をこなしたぶん、スイングスピードはどんどん落ちていきます。

 500回や1000回など数多く素振りをすると、数をこなすことが目的となってしまうので、10回~20回を1セットで合計100回素振りをするなど、回数は少なくてもいいので、“全力で強く振る”ことを意識したほうがスイングスピードアップには効果的です。

 ただ、一つ補足すると、スイング技術を身につけるために素振りの数をこなすことが必要になることもあります。そのため、スイングスピードなど筋肉出力を高める素振りと技術を高める素振りは分けて考えたほうがよろしいかと思います。

 素振りと同じく、筋トレ、『ボックスジャンプ』や『メディシンボールスロー』などの瞬発系のトレーニングも考え方は同じです。数をこなすのではなく、1回の質を上げていくのが打球速度向上には効果的です。

 質を上げると、瞬発系のトレーニングは消費エネルギーが大きいぶん、しんどいですし、すぐに筋肉痛になります。逆に毎日トレーニングをこなせるような軽い負荷では大きな効果は期待できません。トレーニングする日としない日を明確に分けて、トレーニングに取り組む日は短時間でいいので、しっかりと負荷をかけて集中して臨むようにしましょう。

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高島誠(たかしま・まこと)
広島県東広島市の西条町にある、野球専門のトレーニングジム「Mac's Trainer Room」の代表。オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、MLBワシントン・ナショナルズのトレーナー経験があり、現在も数多くのプロ野球選手とトレーナー契約を結んでいる。趣味はパルクールとサウナで、サウナ・スパスペシャリストの資格も持つ。野球トレーニングのオンラインサロンの運営、【英語】x【身体作り】x【野球】がテーマの中学硬式野球チーム「東広島ポニー」に携わるなど、様々な分野で活躍。「Mac's Trainer Room」のYouTubeチャンネルでは、野球トレーニングに関する動画を公開中。
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