ルーキー、新助っ人など新戦力が噛み合い上位争いを演じる新井カープ。防御率、打率ともにリーグ上位を推移するカープは、間もなく始まる交流戦をどう戦うべきか。ここではカープOB・大野豊氏がカープの戦いぶりと、これから始まる交流戦への期待を独自目線で解説する。(全2回/第1回)

ここまで14試合に登板し1勝1敗1H。5月13日(巨人戦)ではお立ち台にも立った岡本

一軍デビューを果たした2投手の伸びしろに注目

 ここまでリーグ戦44試合を終え、カープは勝率5割を超え順位も上位を推移するなど、好成績を維持しています(5月26日現在)。

 なかでも投手陣は安定した防御率を誇り、一時はセ・リーグトップの数字も記録しました。ここまでは、ある意味では想定通りだったと言えるでしょう。大瀬良大地、床田寛樹、森下暢仁の先発3本柱はもちろん、先発で登板した投手たちはほぼゲームをつくることができていました。さらに注目したいのは、先発投手たちが5回以上のイニングをしっかりと投げ、ほぼすべての試合で4失点以内に抑えることができている点です。ここまでの試合を振り返ると、先発3本柱だけでなく、4番手、5番手、6番手の投手たちも、しっかりゲームをつくってくれています。

 若い投手でいうと、2022年ドラフト1位で入団した斉藤優汰と、2024年ドラフト3位で入団した岡本駿が今季プロ初登板を果たしました。特に岡本は、マウンド上でも非常に落ち着きのある投球を見せてくれていましたし、球にも力があります。変化球もなかなか良いものを投げていましたから、監督からの信頼も厚いのではないでしょうか。何より、プロ1年目から一軍の選手を相手に経験を積むことができるのは、本人にとっても貴重です。楽しみな新人投手が入ってきたという印象がありますから、ここからさらに活躍をしていってもらいたいと思います。

 斉藤は、苫小牧中央高からドラフト1位で入団し、非常に期待をされてきた投手の一人です。プロ3年目の今年はそろそろ一軍で活躍する投手になってもらわなければならない立場でもあります。これまでは制球力が課題でしたが、5月2日の中日戦では1回1安打2奪三振無失点と、安定感が出てきたという印象を受けました。もちろん、細かいことを言えばまだまだ改良できる点もありますが、ピンチを背負ってもしっかり投げ切って抑えることができたのは、彼にとっても大きな自信になったと思います。5月という時期に一軍で投げるチャンスを与えられたということは、そこで出た課題を二軍で調整し、再度、シーズン中に一軍に呼ばれる可能性は大いにあるということです。斉藤には、「初登板で無失点で切り抜けた」ということに満足せず、自身の新たな課題と向き合い、もう1段階レベルをあげてくれることを期待しています。

(後編へ続く)