投打が噛み合い、『鯉の季節』に上位争いを演じた新井カープ。間もなく始まる交流戦をどう戦うべきか。カープOB・大野豊氏が、これから始まる交流戦への期待を独自の目線で解説する。(全2回/第2回)
◆昨季との違いは得点力。交流戦も維持してほしい
まもなく始まる交流戦に向け、期待と注目が高まっているカープファンも多いのではないかと思います。
昨シーズンは交流戦を5割で終えたカープですが、それまでは『鬼門』と言われるほどに、パ・リーグとの対戦を苦手としていました。昨年の結果でその苦手意識は払拭できたと思いますから、今年は5割以上の勝率を目指してもらいたいと思います。
今シーズンは昨シーズンに比べ、勝てる試合での得点力が相当上がっているという印象があります。打線がこの好調を維持することができれば、苦手と言われ続けた交流戦であろうとも、5割以上の勝率を残すことができるのではないかと予想しています。
勝率の話でいくと、ここまでマツダ スタジアムでの試合は勝率.750と、非常に良い勝率を残すことができています(5月14日時点)。一方でビジターでは苦戦する傾向にあり、ここまで勝率.333。ホームであれビジターであれ1勝は1勝には違いありませんが、ホームでこれだけ勝てるチームであるだけに、ビジターでもっと勝利を積み上げることが、ここから貯金をつくるための重要な要素になると思います。これは交流戦であっても同様で、マツダ スタジアムではしっかり勝利することを前提に、普段馴染みのないパ・リーグのビジターでいかに勝ち切るかも課題のひとつだと感じています。
『鬼門』と言われ続けた交流戦ですが、私個人としては、「一度は交流戦で優勝するところを見てみたい」という思いがあります。そのくらいの勢いで戦ってもらいたいですし、今年のカープにはそれができる可能性は十分にあると思っています。
交流戦でもレギュラーシーズンでも、まずは試合中に何度か訪れるチャンスの場面で、しっかりと走者をホームに返せる打者に出てきてもらいたいです。今年の顔ぶれであれば、坂倉将吾やファビアン、秋山翔吾にその役割を期待したいところです。特にファビアンは日本の野球に対応できるようになってきていると感じますから、アベレージを残しつつ、チャンスにもっと強くなってもらって、どんどん結果を残していってもらいたいと思います。打線では中村奨成も非常に頑張っていますから、相手投手との相性などを考え、中村奨成と二俣翔一を入れ替えながら起用していくこともできるでしょう。
昨シーズンとの大きな違いの一つに、打順がある程度固定できていることがあげられます。特に、3・4・5番のクリーンアップが固まってきたことが、得点力アップの一つの要因になっていると思います。相手チーム、相手バッテリーにも「昨年のカープ打線とは違うぞ」と思わせることができる。そんな打線になっているのではないでしょうか。例年以上に期待の持てるチーム状況だと感じていますので、交流戦でも打線がつながりしっかり点が取れる、そんな戦いに期待して応援してもらえればと思います。