◆退院時には一緒に物件探しも

 あれはクリスマスくらいの時期だったと思いますが、一度退院することになって一緒に福岡の物件を探したことがありましたが……あれは夢のような時間でした。

 それからまもなく再入院となり、約250日で命日である7月20日を迎えてしまうわけです。私は病院で毎日津田の顔を見ながら「今日はあの人にお礼を言いに行っているのかな」「今日はあそこにお礼に行っているのかな」と、再入院している間、津田は感謝の気持ちを伝えてから旅立ったのだと、そう感じていました。

 私自身、彼が病と闘う姿を見てきて、多くのことを学び、多くのことを教えてもらいました。

 現役時代はマウンドで目の前の打者を一生懸命に抑えようとする姿が印象的でしたが、闘病中はそれ以上の凄まじい姿で、目の前にある大病に一歩も引くことなく戦っていました。病院に駆けつける中で、実際にそんな話をしたこともありますし、彼が病と闘う姿には、そんなメッセージが溢れていました。

 人生は良い時もあれば、悪い時も当然あるわけですが、苦しい時、逆境でこそ、真価が問われるものだといつも思っています。そういう事を教えられました。

(後編へ続く)