今シーズン、ナリーグ中地区の首位に立つカブス。その中心として活躍するのが、2022年シーズンから所属する鈴木誠也だ。今季はここまで26本塁打、80打点をあげ、自身のメジャーキャリアハイとなる活躍を見せている(7月20日時点)。
ここでは改めて、鈴木が世界へ羽ばたく強打者へと成長するまでの歩みを、当時の独占インタビューから振り返っていく。今回は、プロ3年目・2015年の春季キャンプ中に行ったインタビューを再編集。『外野手一本』で勝負すると気持ちを固めた鈴木の、レギュラー奪取に向けた熱き思いを紹介する。
◆あの悔しさをバネに
─守備についてお話をお聞きしたいのですが、2014年シーズンから外野を守る機会が増えてきました。
「二軍にいたときは内野の練習がメインで、外野の練習は少しだけという状況でした。なので正直、内野ではまだ通用しないという思いがありましたし、出るなら外野という気持ちがありました。でも、外野専門の先輩に申し訳ないなという複雑な気持ちを持っていました」
─(2015年の)今キャンプは、外野一本での練習を行っています。
「本音は内野手でいくのであれば内野一本、外野手であれば外野一本でやりたいですね。将来的には内野を守りたい気持ちはありますが、『今年は外野でいくぞ』と言われたので気持ちは固まっています」
─それはいつ頃言われたのですか?
「昨年11月に、緒方(孝市)監督から直接『来年は外野でいくぞ』ということを言われました」
─外野守備で難しい面を感じますか?
「先輩方の守備を見ているとすごいなと感じます。打球判断も少しのミスが命取りになりますし、このキャンプは外野守備の意識を高く持って臨んでいます」
─昨季、ライトからの返球で強肩ぶりを見せつけました。外野を守る上でやはり肩は武器になるのではないでしょうか。
「細かい面はまだまだですが、自信があるとすれば確かに肩ですね。肩だけは先輩にも負けてはいけないと思っています」
─キャンプでは守備のみならず、走塁も重要視される練習が組まれています。
「相手の隙があれば、どんどん走っていきたいなと思っています。昨年はここで走らなくてもいいという場面で走って、ミスを犯したこともありました。チームに勇気を与えるような走塁をもっとできるようになりたいですね」
─走塁面でも高い意識が持てるのも、やはり昨季の一軍での経験が大きいのですね。
「正直、二軍で走塁ミスをしたときはここまで高い意識を持つことができていませんでした。一軍の試合独特の緊張感のなかで失敗を味わったことが大きいですね」
─キャンプ中の練習では野間(峻祥)選手とセットとなり、ライトで練習をすることが多くあります。ポジションを狙う上でライバルになると思われます。
「一緒に練習する機会が多いですが、僕は野間さんの良い部分があれば、参考にしたいですし盗みたいなと思っています。たとえ野間さんとレギュラーを争って僕が負けたとしても、それは僕に実力がないだけなので、そこは割り切っています」
─周囲からは1番・ライトでの出場が期待されています。
「やはりライトに定着して1番を打ちたいです。数多く打席が回ってきますし、僕は初回に打席が回ってくる打順がやりやすいです。1番打者として初回からどんどん振って、相手投手をビビらせていきたいです」
─1番打者は出塁率が求められる打順ですが心がけていきたいのはどんな点ですか?
「丸さんを見ていると、四球も多く選んでいますし、ボール球を振らないで甘い球を仕留めるというのが理想だと思っています。ただ、球を見極め過ぎてストライクまで振れなくならないように、試合に出続けて球を見極められるようになっていきたいですね。もし一番を打てれば『俺が打たなくても後ろはキクさんだし』と思えば気は楽ですしね(笑)」