勝負の8月を目前に、リーグ5位に沈んでいる新井カープ。昨シーズンは優勝目前の9月に失速。優勝、CSをも逃すという苦い経験をしただけに、ここからの再浮上と上位固めに注目が集まる。ここではカープのレジェンドOB・大野豊氏が、苦境脱出に向けたポイントを独自の目線で解説する。(データは全て7月14日時点)
◆点を取るための打開策を探ることが急務
交流戦明けの苦戦は、投打のバランスも原因があると感じます。
カープは7月序盤に6連敗を喫し、15試合連続で3得点以下の試合が続くなど得点力に課題が出ています(7月14日時点)。7月に入りタイムリーが出た試合も数えるほど。『チャンスで打つ』場面が非常に少なくなっています。打線が機能せず、つながりを欠いた、チグハグな攻撃が多い印象を受けます。野手の役割分担のなかで、勝負強さを出すことを意識してもらいたいと思います。
「得点力不足」。この話は昨シーズンから何度か話題に上げてきましたが、今シーズン、一定の結果こそ残しているものの、まだまだ課題が解消されたとは言えない印象です。相手チームのどの投手が登板しても打ちあぐねているという状況ですから、ここは何か根本的な解決方法を探らなければならないでしょう。
「点を取る」というのは、言うのは簡単ですが、なかなか難しい部分もあるでしょうが、首脳陣を含めて、『点を取るための打開策』に取り組むべきです。例えば打順に関して見てみると、試合によって起用する選手も打順も変わるという、得点するために試行錯誤する試合が続いてしまっています。今シーズン、一時は打順の1番から5番あたりまでが固定されていた時期もありましたが、つながりが悪くなり、チーム状態が上向かなくなったために、不安定な打順にせざるを得なくなっています。いろいろな選手を使いたい、若い選手を起用したいという意図はわかりますが、誰が出ても点が取れるというわけではないのが現状です。選手たちも、「ここで自分が決めるんだ」と意識するのではなく、つないでチャンスを待ち、打線のつながりのなかで、ランナーをホームに返す勝負強さや粘り強さを発揮する。そのための準備をすることも必要でしょう。
今シーズン、カープはビジターで33試合を戦って11勝20敗2分と大きく負け越してしまっています。ホームでは当然アドバンテージがあります。カープはマツダ スタジアムでは31試合を戦って17勝12敗2分と勝ち越せているのですが、ビジターでの負けが重なってしまっている部分が、首位を走る阪神との大きな差になっています。ホームだけで勝ち越していても、ビジターで負けが混んでしまうとなかなか優勝を目指すのは厳しいものです。いかにビジターで勝ちを拾っていくか。これから順位を一つでも上げていくためには、その点も後半戦の重要なポイントになっていくでしょう。
いまは投手が、野手が、というよりも、監督をはじめとするチーム全体で、この現状をどう打開するかを考えていくべきでしょう。
シーズン終盤に向かって、チーム全体で勝ちにつなげていきながら、カープらしい戦いのなかで光るものを見せてくれるヒーローが登場する。そんな展開を期待したいと思います。
もう一度、ここから貯金をつくっていけるような、投打の噛み合った展開に期待したいです。