◆カープロードに新たに設置された、カープ坊やハンドホール
2025年からカープロードにはカープ坊やをあしらった『マンホール』ではなく『ハンドホール』と呼ばれる長方形の蓋が設置されています。
以前カープロードは歩道に電柱が何本も設置されていました。カープロードのリニューアルにあたり電線地中化となったため、それに伴い設置されたのが『ハンドホール』です。この蓋の横には四角いボックスがありますが、このボックスは電柱の役割を果たしています。地震や災害時に電柱が倒れて通電が止まったり、復旧に時間がかかったり、そのような二次災害を避けるため、国土強靱化の一環として電線をなくしていく取り組みでもあります。ここにもカープ坊やのイラストをあしらうことで、少しでも取り組みに興味を持ってほしいという思いが込められています。
カープ坊やは1975年に誕生し、現在は街の風景の一部になっています。普通は街にこのようなマンホールがあれば、違和感がありますが、そう感じさせないのは、この50年間でカープ坊やが広島で愛されて『市民権』を得たということだと感じます。
球団を代表するイメージキャラクターとして、さまざまなグッズができ、子どもたちはまさに“カープ坊や”としてチームを応援しています。あまり人気がなければキャラクターを変えたいという声も出ていたかもしれませんが、そうならなかったのは、街づくりと同じように、カープ坊やが愛されていた証です。広島に原爆が投下され、戦後の広島が未来の子どもたちへ、良い町、良い環境、そしてスポーツという、未来を託した思いが、“子ども”であったこと、それがこの50年間を支えてきたのだろうと感じます。
デザインマンホールは、一見派手で、話題性があります。ただそれは、マツダ スタジアムを移設するときの基本コンセプトのように、あくまで目的のためにつくられています。水道施設、電線施設、さまざまなインフラ施設の重要性は、『マンホールの下』にあります。カープ坊やの将来を見据えた思いと同様に、野球ファンの子どもたちに少しでもその思いを感じてもらえれば、広島の街は長く続いていくのではないかと思っています。弊社は全国的にマンホールデザインを担当させていただいていますが、基本の思いは、そこから変わることはありません。
多くの方々に『カープ坊やマンホール』に関心を持ってもらい、なぜマンホールがあるのか? どういう役割を果たしているのか? と、関心を持つきっかけになればうれしいです。
■友鉄工業株式会社
創業1959年の鋳物製造の老舗企業。鋳物業界における高技術を誇る総合メーカーで、地域インフラから自動車、景観用途まで多岐にわたり業務を展開している。