◆肌で感じる日本野球とメジャーとの違い
— 8年前までは完投が多くあったと思いますが、メジャーでは中4日で100球が目処というスタイルでした。改めて完投への意識はどのようにお考えですか?
黒田 当然調子が良くて、状態も良くて投げれると思えば完投したいなと思います。ただ、自分の気持ちだけでできるものでもないですし、あとはチームのなかでの判断というのは僕らではなく、監督、コーチがやることです。ただやれることというのは自分が任されたイニングを全力で抑えていく、その積み重ねだと思います。
— 6回3失点以下のクオリティースタートですが、帰国後の意識はいかがですか?
黒田 アメリカでは中4日、中5日で10連戦、20連戦があるなかでの、6回3失点でクオリティースタートいうものの価値があるものだと思うので、それをそのまま中6日で回っている日本で当てはめていいものか、僕にはちょっとわからないですね。それは同じローテーションでも全然役割は違うと思うので、それだけを評価の基準にするのは違うと感じます。
— 中6日の間隔で調整が続いています。
黒田 アメリカで7年間やってきたものが自然と体に染みついているものがあるので、間隔が空けばいいかといっても、プラスのことだけじゃなくてマイナスのこともあるかもしれません。当然間があけばそれだけ、実践間隔も鈍りますし中4日で回っている感覚で調整していれば2日間というのでまた変わってくる部分もあります。ただ体の年齢的な回復力を考えたら、アメリカにいたときよりは当然回復する時間が多いというのは良いことだと思います。
— 現在40歳になられましたが、やはり年々体力的にはキツくなってきていますか?
黒田 いや、もうずっとキツいですよ(笑)。マウンドに上がることは簡単なことではないですし、そこで結果を出し続けるというのも簡単なことではないと思うので。年齢のことは言われますけど、それも受け入れてやらないといけない部分は絶対あると思いますね。
— 若い選手が多いなかでプレーすることは刺激になりますか?
黒田 刺激は当然受けますが、年を取ったなとは思いますよね、そういうのを見ると(笑)。特に日本というのは上下関係がありますが、アメリカでは相手の年齢を考えながら話すことはありませんでした。そういう部分で自分の年齢をすごく感じることはありますね。
— 先発投手として一番こだわりを持たれている数字はなんですか?
黒田 当然勝ち星というのは勝てるに越したことはないですし、勝てるピッチャーというのは周りからそういう風にみられるものだと思います。僕自身通算3000イニングを日米で投げてきて、それはケガをしないで毎年コンスタントに投げていかないとできない数字だと思います。振り返ったなかで疲れてどうしても投げられないという時期も乗り越えながら、毎年なんとか投げてきた積み重ねが数になってきていると思います。現時点で振りかえってどうかというのはないですけど、自分が野球を辞めたときにその数字をみて、何か感じるものがあるでしょうね。