◆必要なのは選手の適正に応じた場を考え、自信を積み上げていくこと

「キャンプといえば、投手の課題についても引き続き取り組んでいくつもりです。今シーズンはストライク先行、並行カウントからの自信のあるボールでの勝負、球数制限、相手の足下を動かす攻め方などをやってきました。その成果はかなり出ているとは思います。実際、ほとんどの選手が昨年よりいい防御率をマークしましたからね。

 でも、そうは言ってもそうした課題がシーズン途中でできなくなる傾向にも陥りました。それをシーズンを通じてやっていくことが大切なのです。ただ先発、中継ぎ、抑えについてその役割を担う選手の振り分けはもう一度、考えてみたいと思います。今年1年を通じて選手の適性を見ることができましたからね。例えば永川(勝浩)君。彼は今や日本球界を代表するストッパーになりました。それと同じようにそれぞれの適性に応じた仕事場を考えていきたいと思います」

ーたくさんお話を聞いてきましたが、ここまでを踏まえてそれではカープはこれからどんなチームに成長していくとお考えですか、またその見通しはいかがでしょう。

「言葉のニュアンスが微妙ですが、このチームは『生意気だな』と言う人がいるぐらいにならないといけません。例えば中日の福留(孝介)選手。彼が放つあのオーラ。自信。それはやはり彼にはあって、それがない日本人選手は大勢います。彼は凡打した時にバットを投げつけたりします。それは単なるわがままではない。自分に対する態度がそうなるのです。くそっ、とね。それが自信と過信の紙一重の部分になるのです。

 ほかにも日本ハムの小笠原(道大)選手や新庄(剛志)選手、ヤクルト岩村(明憲)選手などがそうです。我々のチームで言えば前田(健太)、黒田の二人です。もちろん、みんながそうはなかなかなれません。でも新井、嶋(重宣)、栗原(健太)クラスは考え方を変えていくことでそういうオーラを発するようになるのです。

 うちのチームはフィジカル的にはどのチームにも負けないものを持っています。あとは安定した力を発揮するために、何度も繰り返しますが自信を積み上げていくことです」

ーいろいろと聞かせて頂き、今後のカープがとても楽しみになりました。監督のパフォーマンスも楽しみにしています。

「私は監督としての仕事に誇りと情熱を持っています。チームをまとめていくことのほかにも選手の声を聞き、彼らをサポートしていく。それはファンのみなさんの期待に応えていくことでもあると思います。だからこれからも私の姿勢は変わりませんよ」

■マーティー・レオ・ブラウン(Marty・Leo・Brown)
1963年1月13日生まれ
ジョージア大から85年ドラフト12位でレッズ入団。メジャーでは3年間で35試合に出場。92年から3年間、カープで活躍。257試合で打率2割5分6厘、50本塁打、165打点の成績を残した。監督就任1年目の今年は投球数の制限や一三塁線を大きく開ける守備位置などで課題だったディフェンス面を改革。また、内野5人シフトやベース投げ事件など、その行動は常に話題を呼んだ。