「本当に今年が最後のシーズンだという、危機感を持って毎日投げています」
育成選手としてプロ3年目のシーズンを迎えた藤井黎來(れいら)は、誰よりも強い決意を持って、2020年のシーズンを戦っている。
右腕が誇る最大の武器は、ストレートと落差の大きいフォーク。春季キャンプでは主力打者から三振を奪うなど、球の精度を高めていけば一軍の舞台でも十二分に通用する球であることを証明した。
「とにかく低め低めにという意識でやっています。自分の持ち味はフォークです。ストライクも取れて空振りも奪えるフォークが理想ですね」
3月25日のヤクルト戦では練習試合ながら、一軍クラスの主力相手に1回を無失点に抑えると、二軍ではここまで8試合に登板し防御率0.90をマーク。念願の支配下登録に向けて猛烈アピールを続けている。
「ここまで実戦での感覚は決して悪くありません。もっともっと結果を求めていきたいけど、自分の場合それと平行して内容も求めていかないといけません」
育成契約は原則として3年契約。藤井にとっては今季が勝負の年となる。崖っぷちに追い込まれた男はここから下克上の投球を見せていく。