即戦力の期待をかけられ、佐々岡真司監督の見事な一本釣りでカープに入団。大学ナンバーワン右腕の異名を取った森下暢仁が、プロの舞台でも期待以上の活躍を見せている。

スライダーを武器にプロ1年目から投手陣の軸となった澤﨑投手。現在はカープの一軍投手コーチとして後進の指導にあたっている。

 ここまで残した成績は、本日の試合前の時点で5勝2敗。防御率2.19はリーグ2位、奪三振64はリーグ3位という堂々たる成績だ。

 開幕当初は勝ち星に恵まれないこともあったが、ここ3試合は連続でクオリティスタート(6回以上、自責点3以内)をマークする安定感を見せ、自らの手で勝ち星を引き寄せる投球を見せている。

 まだペナントレースの折り返し地点を通過したばかりとはいえ、戸郷翔征(巨人)らと共に新人王受賞候補の筆頭に浮上。そこで、ここでは森下と同じくルーキーイヤーに活躍し、見事に新人王を受賞した過去のカープ大卒投手をピックアップ。山内泰幸に続き、今回はスライダーで名だたる強打者を翻弄した澤﨑俊和を取り上げる。

◆規定投球回に到達し、チームトップの12勝をマーク

 カープを逆指名しドラフト1位で青学大からカープに入団した澤﨑俊和。この年のドラフトでは井口忠仁(ダイエー)、清水将海(ロッテ)と青学大から合計3名の1位入団選手を輩出した年だった。

 4年春のリーグ戦でMVPと最優秀投手に選出されるなど“東都リーグのエース”と呼ばれた澤﨑は、高い制球力とスライダーを武器に開幕当初は中継ぎとして存在感を発揮。4月10日のヤクルト戦で、9回からの3イニングを無失点に抑え初勝利を手にした。

 リリーフとして結果を残していた澤﨑だが、開幕ローテーションを担っていた投手たちが不調や故障に陥り、同じくルーキーの黒田博樹と共に先発ローテーションを任されるようになる。オールスターにも出場する活躍を見せてチームの主戦力として数えられるようになっていった。

 1997年は二桁勝利をあげた川村丈夫(横浜・日本石油)、57試合に登板した入来祐作(巨人・本田技研)、そして新人王受賞資格者として同僚で3年目の横山竜士(福井商高)が56試合に登板しブレイクするなど、多くのライバルがひしめいていたが、規定投球回数に達し、チームトップの12勝を記録した澤﨑が新人王を受賞。ルーキーながら崩壊しかけた投手陣を黒田と共に支えた功績は計り知れない。