明治大の先輩である野村祐輔の足跡を辿るように、森下暢仁が開幕直後から他を圧倒する投球を見せ続けている。開幕から先発ローテーションの一角として機能し、敗れた試合であっても試合自体はつくり続けてきた。

抜群の制球力で開幕から一軍の先発ローテーションに定着した野村祐輔投手。

 オープン戦や練習試合のときから実証しているように、マウンド上での修正能力の高さは折り紙付き。たとえ打ち込まれる試合があっても、次の登板に引きずらないのが森下の最大の特長だ。

 ここでは森下と同じくプロ1年目から躍動し、新人王を受賞した過去のカープ大卒投手をクローズアップ。今回は冒頭でも触れた野村祐輔のプロ1年目を振り返る。

◆シーズン通して先発ローテを守り、驚異の防御率をマーク

 菅野智之(巨人・東海大)、藤岡貴裕(入団時ロッテ・東洋大)と共に“大学ビッグ3”の一角として、2011年ドラフトで大きく注目されていた野村祐輔。東京六大学リーグで史上7人目となる通算30勝300奪三振を達成した男は蓋を開けてみれば、カープからの単独指名となったが、野球名門校(広陵高→明治大)を歩んできた右腕は即プロ野球の世界に順応する高い適応力を見せた。

 開幕から実力で先発ローテーションの座を奪い取ると、前半だけで7勝と前評判に違わぬ成績を残しオールスターにも出場。パ・リーグの主力打者たちと対戦し、3回無失点に抑え敢闘賞を受賞した。

 エース・前田健太に次ぐ存在として安定感に富んだ投球を続けていた野村は、8月22日のDeNAで9勝目をマーク。シーズン終了まで1カ月以上あり二桁勝利は時間の問題かと思われたが、この試合を最後に7試合連続で勝ち星がつかず、そのままシーズン終了。惜しくも1997年の澤﨑俊和以来となる新人二桁勝利とはならなかった。

 しかしシーズン通して先発ローテーションの座を守り抜き、防御率は脅威の1.98をマーク。新人王を決める投票では200の得票数を集めて、見事に新人王に輝いた。