ワイドで迫力ある攻撃を演出する柏。国内でも屈指の実力者として代表入りが期待される。

リーグ戦に復帰してからの青山のプレーについては『さすが』と言わざるを得ません。ピッチに立つことで雰囲気を変えることができる選手ですし、周囲の選手の生かし方は唯一無二と言っても過言ではありません。

8月31日の磐田戦(○2ー0)が良い例で、インターセプトでボールを奪った青山を起点にして、先制点が生まれました。前線の選手の特徴を考えた上での縦パスなどはもちろんのこと、サイドへ展開するタイミングも抜群です。中盤で試合をコントロールするワンプレーに唸らされたのは一度や二度ではありません。

青山がボランチとして出場することで、試合途中からシャドーに回る川辺の存在も輝きます。シーズン終盤になり、青山が戦列に復帰したことが何よりチームの上がり目と言えるでしょう。

もちろん先発出場する青山を見たい気持ちも当然ありますが、磐田戦のような前半戦でしっかりと耐え抜いた上で、後半戦で一気に展開するサッカーを変化させ、相手を仕留めるというパターンができている点も見逃せません。ポジションや役割は異なりますが、15年の浅野拓磨(現パルチザン)のような、試合を決め切るジョーカーとしての起用も相手にとっては脅威なのではないでしょうか。

また、現在チームトップの得点を挙げている柏の活躍も見逃せません。いつも言っていることですが、相手チームが最大限の注意を払っているにも関わらず、その包囲網を突破している姿は脅威の一言に尽きます。

シーズン終盤戦になり、さらに輝きを見せている理由としては、チームとして中央からの攻撃パターンも形になってきたからでしょう。現在のように森島や川辺、そして中盤から起用されている青山が中央から突破していく攻撃の形をとることで、ますます柏の存在感は大きくなっていくはずです。

(広島アスリートマガジン2019年10月号から一部抜粋・続きは本誌にて掲載)

▼ 吉田安孝(よしだ やすたか)
1966年11月22日生。広島県出身。元サンフレッチェDF。現在は広島テレビ「進め! スポーツ元気丸」などのサッカーコメンテーターとして活躍中。