プロ2年目の島内颯太郎が、再編が急務のカープ救援陣の中で奮闘を続けている。開幕一軍入りは逃したものの、中村恭平と入れ替わる形で7月7日に一軍に昇格。7月15日の巨人戦では打ち込まれたものの、そこから約1カ月はスコアボードに0を並べ続けた。

首脳陣の信頼を勝ち取り、現在は勝ち試合での登板が続く島内颯太郎投手。

 1年目の昨季は即戦力として期待されながら、年間通しての一軍帯同は叶わなかった。150キロを超す直球が示すように、球の威力は誰しもが認めるものがある。しかしながら、マウンド上で不必要に力むことで本来の投球内容を見失っていたという。

「自分の投球内容でチームの勝敗、順位に直結してくる部分もあるので、そこで緊張感が一気に増しましたし、ちょっと力み過ぎたという印象が残っています。もともとコントロールは良い方ではないと言いますか、コースの際に投げ込めるようなコントロールを持っているタイプではないです。大まかにストライクを取って、真っ直ぐでファウルを取ってカウントを稼ぐ、というのが自分の持ち味だったんですけど昨季の前半戦はその持ち味を出せない試合が多かったです。いま思えばコースを狙いすぎて自分から崩れていくというパターンが多かったですね」

 飛躍の2年目を迎えるにあたり、シーズン後のオフには中﨑翔太、塹江敦哉と合同自主トレを行った。その中で中﨑から、さまざまな場面での体の使い方を教わうなど、レベルアップに励んできた。

 そして今季からカープに新設された通称『2.5軍』で、腰を据えて自らの投球フォームを練り直した。投手コーチ、スコアラー、トレーナーの三位一体で取り組む実戦とは距離をおいた状況での調整は、島内の投球に新たな感覚を呼び込むことになった。

 昨季にも増して球威が上がったことで、一軍昇格後は奪三振率が向上。9月に入り失点を重ねる試合も見られたが、空振りが取れる直球を武器に勝ちパターンでのリリーフ登板を続けている。

「自分の投球の持ち味は真っ直ぐなので、持ち味をもう一回取り戻して、大まかでも良いので自分の勢いのある真っ直ぐを投げるということを意識しながら練習していました。それをブルペンの段階からやりつつ、実戦でも同じ意識で投げるということをずっと頭の中に置きながら練習しています」

 今季、島内が目指すのは、昨年の25試合登板を大幅に上回る50試合登板。新型コロナウイルスの影響で試合数が削減されているため単純な比較はできないが、現状の投球内容を続けていけば十分にクリアできる数字といっていい。昨季、屈辱を味わった本格派右腕が、類まれなる直球を武器に勝負の2年目シーズンに臨んでいる。