オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、MLBワシントン・ナショナルズのトレーナーを務め、メジャー時代は「マック(高島の愛称)はゴッドハンドを持っている」と高い評価を得たトレーナー・高島誠。この連載では、数々のプロ野球選手を指導してきた経験をもとに、これまで公では語られることのなかった、マック流・野球パフォーマンスアップの秘密を披露していく。

 

◆ラプソードを使う最大のメリットとは……

 野球専門のトレーニングジム「Mac’s Trainer Room」代表の高島誠です。『Mac高島の超野球塾』の連載をご覧いただき、ありがとうございます。

 今回と次回、2回にわたり、これまでの連載でも紹介したRapsodo(ラプソード)を取り上げたいと思います。カープファンのみなさんも、今年はニュースなどで『ラプソード』の言葉を耳にすることが多いのではないでしょうか。

 各種報道でも出ていましたが島内颯太郎投手はこのラプソードを使って、変化球のリリースポイントを修正すると、7月に一軍に昇格。フォームの見直しを行ったことで、150km超の自慢のストレートの魅力が増し、いまや試合の重要な場面を任されるまでになってきています。

 

 ラプソードは2016年にアメリカで誕生した、野球に必要な数値を測る最新のポータブルトラッキングシステムです。レーダーとカメラが内蔵されたコンパクトな本体を設置するだけで、投手であれば回転数や回転軸、変化量、打者であれば打球速度や打球角度など、様々なデータをリアルタイムで取得することができます。

 僕がその存在を知ったのは、ラプソードが誕生してすぐ。SNSで情報をキャッチすると、アメリカの販売会社に連絡し即座に機材を導入しました。これまでの経験から、選手がレベルアップするためには必ず必要なものになると思ったからです。「Mac’s Trainer Room」では、日本のプロ球団よりも早くこの機械を導入し、実績を残し、たくさんのノウハウを蓄積しています。

 ラプソードの最大のメリットは自分の力を数値化できることです。あの選手が投げる球は強い、変化球のキレがあるといった感覚的な表現ではなく球速、回転率、回転軸、回転効率、変化量などを分析し、すべて数値として出してくれます。

 たとえば、いまのプロ野球で主流になりつつある鋭く曲がるカットボールを投げたいと思ったとき、映像だけでは、ざっくりとした球の軌道はイメージできても、球の変化量、回転率や回転軸など、その球が秘めている正確なデータまでは分かりません。

 ただ、ラプソードを使い数値化することで、具体的な修正点を分析することが可能です。これまでのように頭の中のイメージを頼りに変化球を習得するより、ラプソードを使ったほうが上達は早いと言えるでしょう。

 人生の大半で野球に携わってきたからこそ言えるのですが、野球の練習メニューには、目標や目的が曖昧なものがとにかく多いです。なぜ100球投げ込むのか、なぜ100回素振りをするのか。それをこなすことによって、どのような効果が得られるのか、具体的にどんな能力が身につくのか。この問いかけに論理的に答えられる人はいないのではないでしょうか。

 ラプソードを使うことで、自分が投げているボール、自分が打った打球を数値化でき、自分の能力を客観視することができます。そして、指導者の視点で考えた際、選手に数値を見せることで、より具体的なアドバイスを与えることが可能となります。