新指揮官のもと、約半年に及ぶ明治安田J1百年構想リーグ・地域リーグを戦い抜いたサンフレッチェ広島。チャレンジと修正を繰り返しながら苦しんだ時期を経て、チームは新たなスタイル、新たな武器を形づくっていった。ここではクラブOB・吉田安孝氏が、特別大会で印象的だった選手たちを独自の目線で解説する。(全2回/第2回)

広島ユース出身。海外移籍を経て、2024年、3年ぶりに広島に復帰を果たした川辺駿

◆攻守に欠かせないMFの存在感と、悲願の代表入りをつかんだ守護神

 明治安田J1百年構想リーグを通して特に印象的だった選手を選ぶとするなら、MF・川辺駿を挙げたいと思います。

 危ない場面では体を張って守備に行ける。チャンスのシーンでは前にも行け、周りの選手を活かす攻撃のスイッチにもなれる。そして、仕上げのアシストもできる。まさに万能型プレーヤーであり、サッカーIQの高さを感じるプレーを随所に見せてくれました。川辺は今やサンフレッチェの中盤に欠かせない、大きな存在となっています。

 そしてもう一人、これからますます注目が集まるであろう選手が大迫敬介です。

 大迫は5月15日、北中米W杯のメンバーに選出されたことが発表されました。サンフレッチェからの選出は、駒野友一(2010年・南アフリカ大会)、青山敏弘(2014年・ブラジル大会)に続く3人目となります。

 現在、日本代表では鈴木彩艶(パルマ)がGKを務めるケースが多くなっていますが、W杯は何が起こるかわかりません。いつ出番が巡ってきても良いように、しっかりと準備をして、「いつでもスタメンで行けるぞ」という気持ちを持って臨んでもらいたいと思います。

 大迫は『W杯に出る』という高い目標を立て、そこに至る道のりを自ら設計し、一つずつ着実に、目標に向かってステップアップをしてきました。

 まずはサンフレッチェのトップチームに入る。トップチームには林卓人(現GKコーチ)という大きな存在がいるので、次は林を追い越して正GKになる……そうしたステップを着実に積み重ね、ついに日本代表のメンバー入りを果たしました。大迫の努力の軌跡は、ルーキー時代から大きく変化したその顔つき、体つきを見ても分かります。チャレンジとミス、そして反省と修正を愚直に繰り返しながら成長を遂げてきた、典型的な選手だと思います。

 そして大迫の成長曲線は、特別大会でサンフレッチェというチームが辿った歩みと重なる部分も感じています。

 果敢にチャレンジし、ミスを経験し、そこから課題を見つけ、修正する。

 その繰り返しを積み重ね、新監督のもと、チームは新しい武器を形にしようとしています。約半年間の百年構想リーグはサンフレッチェにとって、非常に価値のある大会になったのではないでしょうか。

 8月に開幕を予定している2026/27シーズンが、ガウル広島にとって初のリーグ戦となります。特別大会を通じて選手積み上げてきたものを発揮して、2015年以来となるリーグタイトルをつかみに行ってもらいたいと思います。

【吉田安孝(よしだ・やすたか)】
1966年11月22日生、広島県出身
現役時代はサンフレッチェ広島のDFとしてプレー。引退後は、サッカーコメンテーターとして多方面で活躍中。