2026/27シーズン開幕に向け、いよいよ本格始動するサンフレッチェ広島。7月7日からはオーストリアでの一次キャンプを、そして7月下旬からは国内での二次キャンプに臨む予定だ。明治安田J1百年構想リーグを経て、ガウル監督の目指すサッカーは着実にチームに浸透してきた。ここではクラブOB・吉田安孝氏が、チームを支えるベテランへの想い、そして新シーズンへの展望を語る。(全2回/第2回)

ベテランの域に達してなお、進化を続ける佐々木翔

◆2015年以来のリーグ制覇へ。開幕から波に乗れるかもポイント

 明治安田J1百年構想リーグは終盤に複数得点をあげた試合もあり、徐々にガウル監督の目指すサッカーがチームにフィットしてきたという印象を受けました。そしてチーム全体だけでなく、選手個人のコンディションも、それぞれに良くなってきていたと感じます。

 例えば佐々木翔は、シーズン後半にかけて体のキレが非常に良くなっている印象を受けました。本人と話をする機会があったので聞いてみたところ、トレーニングの量を調整したことにより、体が軽くなったと話していました。それまでは「若い選手に負けないように」と自分自身を追い込んでいたそうですが、年齢に合わせて体と相談しながらのトレーニングに変更したところ、体のキレが増してきたのだそうです。

 また同じくベテランの塩谷司は、オン・オフをうまく切り替えることで、フィジカルとメンタルを高い水準で保つことができているのではないかと感じます。これもまた、塩谷の長いプロキャリアのなかで身についたスキルのひとつなのでしょう。ただ、それを踏まえても塩谷の鉄人ぶりには目を見張るものがあります。頼もしいベテランと期待の若い選手たちが融合し、キャンプを経て、百年構想リーグで見えた課題を克服していってもらいたいと思います。

 一次キャンプはオーストリアで実施されるそうですが、海外のクラブチームとトレーニングマッチを行う機会も増えてくるでしょう。二次キャンプではJリーグのチームとのトレーニングマッチを含め、緻密な戦術のすり合わせを行うのではないかと予想されます。新シーズンは、開幕から百年構想リーグ終盤のような良い流れに乗れることを期待したいですね。

 2015年以来、サンフレッチェはリーグタイトルから遠ざかってしまっています。もちろん、その間に初のカップタイトルを獲得するなど結果も残してきましたが、やはり『王者』と呼ばれるのはそのシーズンで『リーグ優勝』を成し遂げたクラブだと私は考えます。

 2015年のチャンピオンシップ決勝戦の第2戦では、後半に浅野がゴールを奪い、サンフレッチェが優勝を決めました。来月開幕する新シーズン、浅野の存在がチームにリーグ優勝をもたらしてくれるとしたら、こんなにドラマティックなことはありません。ファン・サポーターのみなさんにとっても、期待の高まるシーズンになることは間違いないでしょう。

【吉田安孝(よしだ・やすたか)】
1966年11月22日生、広島県出身
現役時代はサンフレッチェ広島のDFとしてプレー。引退後は、サッカーコメンテーターとして多方面で活躍中。