カープの扇の要である會澤翼が、無事スタメン復帰を果たした。9月10日のヤクルト戦(神宮)で、廣岡大志のファウルチップがマスクを直撃。頭部に衝撃を受けた會澤は、そのまま担架に乗せられての退場を余儀なくされていた。

9月29日の巨人戦でスタメン復帰を果たした會澤翼選手。

 そこから遡ること1カ月あまり。7月31日の巨人戦(東京ドーム)では、畠世周が投じた直球が頭部を直撃。6日後に先発復帰したとはいえ、間を置かずしての今回の負傷離脱だけに復帰に向けては慎重な姿勢がとられていた。

 ヤクルト戦の翌日に登録を抹消された會澤は、まずは三軍で状態を見極めながら調整を開始した。半月後の9月26日から二軍練習に合流し、紅白戦などで攻守両面でプレーに支障がないことを確認した。翌日の27日には晴れて一軍に再昇格。無安打に終わったとはいえ、二日後の巨人戦でスタメンに復帰した。

 現状、チームは二桁借金を背負うなど苦しい状態が続いている。ここから一つでも多くの白星を積み重ねていくためには、チームリーダーでもある會澤の存在は欠かせない。チームとしては、今回の欠場が大事に至らなかったのは不幸中の幸いだった。

「選手会長になった(田中)広輔も言っていましたけど、まずは『自己犠牲』ということが大事になってくると思っています。あとは凡事徹底という言葉がありますが、“やれることをしっかりやること”ですね。やはり、やれない事はできないですから」

 磯村嘉孝、坂倉将吾らの台頭が見られるとはいえ、精神的支柱でもある會澤の力は必要不可欠だ。リード面はもちろんのこと、打撃面でも昨季はリーグトップの得点圏打率(.351)を記録。“打てる捕手“の復調は、そのまま今季の課題となっている打線のつながりにも好影響を及ぼすはずだ。

「いつも『がんばれ! がんばれ!』と応援してくださるカープファンのみなさんですから、何とかね、みなさんに笑顔になってもらうために、僕は一生懸命に頑張ってプレーし続けるだけです」

 球団に対する感謝の言葉と共に、カープ残留を表明してから1年。自己犠牲の精神を胸に、この先も會澤がチームのために全力を出し尽くす。