今回振り返るのは2013年10月13日。カープが球団史上初のクライマックス・シリーズ(以下CS)ファーストステージを突破した1日だ。前日の勢いそのままに、カープが真っ赤に染まった甲子園球場で歴史的な1勝をあげた。

2013年シーズンは規定打席未満ながら打率3割をマークし、チームを牽引した梵英心氏。CS第2戦では貴重なタイムリー三塁打を放ち、ガッツポーズを見せた。

◆投打の助っ人の活躍でCSを連勝突破!

 敵地ながら真っ赤に染まった観客席。投打がかみ合った前日の快勝もあり、流れは完全にカープ側に傾いているかと思われた。ところが試合は西岡剛の先頭打者本塁打で幕開け。いきなりの一発で、カープは出鼻を挫かれる形となった。

 カープ打線もメッセンジャーの前に抑え込まれ、5回まではノーヒット。中盤まで手に汗握る投手戦が繰り広げられた。しかし、結果的に試合の流れを大きく変えたのが、2回に生まれたビッグプレーだ。1死一塁から藤井彰人のレフト頭上を襲う打球を、エルドレッドが巨体を揺らして背走。ジャンピングキャッチで捕球し、飛び出していた一塁走者を刺すことでダブルプレーを成立させた。

 初回に続き追加点を許せばメッセンジャーの状態からして、一気に阪神ペースになることも考えられた。先発・バリントンも「あのプレーで『よし行けるぞ』となった」と後述したように、チームを乗せるビッグプレーとなった。

 カープが反撃の狼煙をあげたのは6回だ。先頭の2番・菊池涼介が二塁打で出塁すると、3番・梵英心が送って1死三塁。4番・キラのライト戦を破る同点タイムリーを引き出した。その後も2死三塁の場面で、好守を見せたエルドレッドが三遊間を破るタイムリーヒットを放ち、一気に流れを引き寄せた。

 終盤7回には1死二塁の場面で梵がタイムリー三塁打を放ち、勝利を確信させるガッツポーズを見せ、8回、9回にも得点を重ねて試合を決めた。

 2連勝を挙げたことで初進出のCSファーストステージを勝ち抜き、ファイナルステージへとコマを進めるこことなったカープ。この日は16年ぶりのAクラスに大きく沸きあがっていた広島の熱気が、シーズンの最高潮に達した瞬間だった。

【2013年10月13日・試合結果】
カープ 7-4 阪神
(甲子園球場)
勝ち投手/バリントン 負け投手/メッセンジャー
本塁打/阪神:西岡1号ソロ(バリントン)・桧山1号2ラン(ミコライオ)
観客数/46,902人 試合時間/3時間2分