── では今季のサンフレッチェについては、どのような印象を持たれましたか。

吉田:正直、世代交代しながら、よくやったと思います。城福監督がやろうとしているサッカーも見えてきましたし、選手も活き活きとプレーし始めたというのはすごく評価できる部分だと思います。もちろん課題はありますけど、トータルで見て収穫の多いシーズンだったと思いますね。

森崎:昨年、カズが引退して優勝を経験している選手が抜けていくなかで大迫、森島ら若い彼らがレギュラーを取って活躍したのは評価されていいと思いますし、最後まで優勝争いはできなかったですけど、そういう位置で戦えたというのは大きいです。

吉田:入れ替わりの時期というのは、どのチームも苦戦するものなんです。普通はJ2降格とか痺れる場所で戦うことが多いなか、サンフレッチェは上位争いの中で世代交代を進めました。本当に稀だと思います。でも、もう少しでACL出場圏内や優勝というものに届きました。そこが来シーズンの課題ですよね。

森崎:あそこで点が取れれば勝てたという試合が多かったですよね。最初に吉田さんが言われたようにFW、点が取れる選手が一人出てこないといけない。優勝したときは佐藤寿人やドウグラスなどがいましたが、今年はそこが定まらなかった。柏がチームの得点王というのは良いことではあるんですけど「絶対に点を取ってくれる」という信頼があるFWが必要かなと思います。

吉田:フィニッシュに至るまでのところは今季から崩しだったり湘南戦(6月)くらいからできるようになったんですけどね。



(広島アスリートマガジン2020年1月号から一部抜粋・続きは本誌にて掲載)


▼ 吉田安孝(よしだ やすたか)
1966年11月22日生、広島県出身/179cm、77kg/現役時のポジションはDF。91年に田辺製薬サッカー部からマツダSCに移籍。Jリーグ発足によりマツダSCがサンフレッチェ広島に。94年にサントリーシリーズでステージ優勝。同年にサンフレッチェを退団し、96年に現役を引退。現在は持ち前の明るいキャラクターを活かして、広島テレビ「進め! スポーツ元気丸」などのサッカーコメンテーターとして活躍中。


▼ 森崎浩司(もりさきこうじ)
1981年5月9日生、広島県出身/177cm、77kg/現役時のポジションはMF。サンフレッチェ広島ユースから、00年にサンフレッチェ広島に入団。チームメートだった森崎和幸は二卵性双生児の兄にあたる。長らくチームの主力として活躍するも、後年はオーバートレーニング症候群など体の不調に苦しんだ。16年限りで現役引退。以降は初代アンバサダーとして活躍中。心の病とも戦い続けた兄弟初の著書『うつ白(はく) そんな自分も好きになる』が絶賛発売中。