プロ1年目の石原貴規が試合経験を積みながら、伸び盛りの若鯉たちと切磋琢磨を続けている。

 「結果はなかなか出ていないですけど……勉強の毎日ですね。打撃もそうですけど、やっぱり一番はマスクを被った試合で勝てないのが悔しかったです」

同年代のライバルたちと二軍で鍛錬を積む石原貴規

 二軍では9月中旬から13連敗を経験。全ての試合でマスクを被ったわけではないものの、勝敗に大きく影響を及ぼす捕手というポジション柄、石原貴自身、大きな責任を感じていた。

「配球面で裏をかきにいくのも大事ですけど、投手の持ち味を生かしていく中で打者と勝負していくという部分ができたり、できなかったり、ですね」

 投手との共同作業で試合をコントロールしていくために、バッテリー間の意思疎通は必要不可欠。チームの投手一人ひとりとコミュニケーションをとることが、好リードを引き出していく。

  最年長の石原慶幸が引退を発表したとはいえ、現在のカープにおける捕手は激戦区の一つとも言えるポジションだ。

「坂倉(将吾)は一軍でやっていますし、(中村)奨成も今年一軍に上がりました。そういう選手と自分を比べることで見えてくる課題もあるので、良い刺激になっています」

 森下暢仁など同期が一軍で躍動する中、地道に二軍で経験を経ることでプロの捕手として実力を着実に積み重ねている。

「最近ようやくチームとして“勝ち方”ができたような気がします。そこに自分もピースの一つとして絡んでチームに貢献していきたいですね」
 勝利への貪欲さを持つ男が目指す捕手像はズバリ“勝てる捕手”に他ならない。