カープ一筋23年の佐々岡真司氏を新監督に迎え挑んだ球団創立70周年の記念シーズン。結果は52勝56敗12分けで5位。2年連続のBクラスで2020年の戦いを終えた。

 ここでは、数々のドラマが繰り広げられた2020年ペナントレースの戦いを振り返っていく。

 今回は、10月10日のヤクルト戦(マツダスタジアム)。森下暢仁と宇草孔基、昨年のドラフト1位と2位のルーキーが活躍した試合をお送りする。

3対0で勝利した10月10日のヤクルト戦。試合後には、森下暢仁投手と共にお立ち台に上がった宇草孔基選手。

◆ドラ1・森下暢仁が6回無失点で8勝目。ドラ2・宇草が貴重な2点タイムリー

 明治大出身の森下暢仁、法政大出身の宇草孔基。東京六大学で切磋琢磨してきたルーキーコンビの活躍で最下位・ヤクルトに快勝。連敗をストップした。

 新人王争いに向けて負けられない試合が続いていた森下。初回、いきなり無死満塁のピンチを招くも、村上宗隆と中山翔太から空振り三振を奪うなど後続を完璧に抑え無失点スタート。2回から5回は1安打に抑える安定した投球をみせるも、3点リードで迎えた6回に、安打と連続四死球でまたも満塁のピンチ。しかし、ここも連続三振で切り抜け、得点を与えなかった。森下暢仁は6回を投げて無失点。8三振を奪う好投で8勝目をマークした。

「いつも『攻めていく』という気持ちが一番大事だと思っているので、逃げずに自分の球をしっかり投げることを意識しています」

 投げるたびに存在感を高めた右腕の生命線は150kmを超える力強いストレート。その速球がこの試合でもヤクルト打線を封じ込めた。

 「ストレートをしっかりと投げれば、ファールになったり空振りも取れているので、自信を持って投げることができています。また、変化球も、より有効になっていると感じています」

 10月・11月、森下はこの試合を含めて5試合に先発。完投勝利を含む4勝(0敗)を挙げ、37イニングを投げて防御率は0.24。自責点はわずかに1と驚異的な成績を残し、月間MVPを受賞した。

 この日森下と共に目立ったのは、10月6日に一軍に昇格し、5試合連続で1番で先発出場を果たしたドラ2の宇草孔基。1点リードで迎えた5回1死満塁のチャンスで、しぶとくショートの頭を超える2点タイムリーを放ち、奮闘を続ける背番号18に貴重な援護点をプレゼント。試合後には、森下と2人でお立ち台に上がり、ファンに喜びの声を届けた。

「早く一軍に上がるためにやるだけだと思っています。課題がたくさんある中で、『昨日はこうだったから今日はこうやってみよう』とか、そうやっていろいろ試せているのは良いことだと思います。とにかく一軍の舞台で勝負したいので、どんどんアピールしていきます」

 力強い言葉を残し、一軍の舞台を見据えて鍛錬に励んでいた宇草。巡ってきたチャンスを活かし、1軍では13試合に出場し11安打。アクシデントによる離脱がなければ、さらに多くの安打を記録していたはずだ。

 佐々岡監督1年目に入団した、カープの次世代を担う森下暢仁と宇草孔基の同級生コンビ。同年代の活躍を刺激に変えながら、来季は、今季以上の活躍を期待したい。 

●試合結果
10月10日
カープ3ー0ヤクルト
勝:森下 8勝3敗
負:スアレス 4勝2敗
S: フランスア 2勝3敗12S