カープ一筋23年の佐々岡真司氏を新監督に迎え挑んだ球団創立70周年の記念シーズン。結果は52勝56敗12分けで5位。2年連続のBクラスで2020年の戦いを終えた。
ここでは、数々のドラマが繰り広げられた2020年ペナントレースの戦いを振り返っていく。
今回は、10月18日の中日戦(マツダスタジアム)。西川龍馬のプロ初の1試合2本塁打で勝利した試合をお送りする。
◆先制とダメ押しの2本のアーチ。長打でチームの勝利に貢献
10月、唯一の3連敗で迎えた一戦。一軍の舞台に戻ってきた打線の主軸・西川龍馬の活躍で連敗をストップした。
西川は「5番・センター」でスタメン出場。4回1死で迎えた2打席目、中日先発・清水達也の直球をとらえ、レフトポールに直撃する5号先制アーチ。初回、2死一、二塁の先制機で凡退した鬱憤を晴らす一打となった。4点リードで迎えた8回には、4番手マルクの3球目の直球を捉えてセンターへダメ押しの6号アーチ。プロ初となる1試合2本塁打をマークした。西川の本塁打に触発されたのか、同級生の鈴木誠也も5回に24号3ラン。10月に入り5本目のアーチでチームの勝利を後押しした。
投げては先発の中村祐が打線の援護を背に粘投。毎回ランナーを背負う投球となったが、決定打を許さず、7回を無失点に抑え3勝目をマーク。8回はケムナ誠、9回はフランスアが抑え、3投手で完封リレーを果たした。
この日は打のヒーローとなったが、西川にとって2020年は苦しいシーズンとなった。開幕から出場を続けるも、コンディション不良で8月26日に登録抹消。ここから1ヶ月半、二軍で調整する日々が始まった。10月11日のヤクルト戦で47日ぶりにスタメン復帰。この試合の2本塁打は、復帰から7試合目で飛び出した本塁打となった。
「とにかく強く飛ばすことを意識しています。『今の形でどうやったら打球を飛ばせるかな』と。そういう部分を意識して打撃練習を行なっています」
昨年の秋季キャンプから取り組んできた“強く飛ばす意識”。それが形となって現れた本塁打となった。
「もっとホームランを打てる打者になっていけたら良いなと思っています」
復帰した10月、3割を超す打撃でチームの躍進に貢献するも、11月に入り、再び登録抹消。11月11日には右足を手術することが球団から発表された。西川の今季の最終成績は、打率.304・6本塁打・32打点。規定打席に到達できず、怪我に泣かされたシーズンとなった。V奪回を目指して臨む来シーズンは、今季の悔しさを糧に、同学年の鈴木誠也と共に打線に欠かせない存在として、さらなる飛躍を期待したい。
●試合結果
10月18日
カープ5ー0中日
勝:中村祐 3勝2敗
負:清水 1勝1敗
本塁打:(広)西川5号・6号、鈴木誠24号