今季のホーム最終戦となった12月16日の柏レイソル戦で、サンフレッチェの積年の課題が浮き彫りとなった。ピッチ上に雪が舞う悪天候のなか、前半から決定機をつくりながらゴールマウスを割ることができない。ボール支配率の面でも優位に試合を進めていたが、柏が得意とするカウンターで失点すると、その後も決定機を決め切ることができず今季初の逆転勝ちを果たすことはできなかった。

33試合を消化し、今季は一度も逆転勝ちを奪えていないサンフレッチェ。得点を期待された浅野もゴールを決め切ることはできなかった。

 得点を奪うという意志は、試合前から感じられた。レアンドロ・ペレイラを欠くなかで、ワントップに浅野雄也を起用。シャドーに森島司、柴﨑晃誠を置く今季初の布陣で、勝ち点3を奪いにいった。

 ところが結果は前節のFC東京戦に続き、0対1と得点を奪えないまま試合終了のホイッスルが鳴り響いた。終盤には城福浩監督が審判のジャッジに異議を唱え、まさかの退場処分に。終わってみれば『決定機を多くつくりながら決めきれない』『先制点を奪われたら逆転できない』という今季のサンフレッチェを象徴するような試合となってしまった。

「今日もそうですが勝ち点ゼロというのはあり得ない。勝ち点1は受け入れられないという試合を多く経験しました。あと少し何かが足りない。あと少しというところの選手の成長を私が後押しできれば、このチームは大きく変わります。あと少しのところまで来ている。それをこの試合で証明したかった。みなさんの気持ちは痛いほど我々に伝わっていました。それに応えられなかったのは……私の力のなさです。申し訳ありません」

 試合後のセレモニーに出席した城福監督は、雪が舞う中でも詰めかけたサポーターに向かい謝罪の言葉を口にした。自身の特長は出したものの得点を奪えなかった浅野も、セレモニー後の会見でチームの課題について言及した。

「チームとしてチャンスはつくれていたと思いますが、最後の質が足りないと思います。そこは個人としての課題でもあるので、ゴールというところの質を上げていきたいと思います。結果を残せてないぶん、最後の部分でいろいろアイデアを出そうとして考えすぎている部分はあると思います」

 ペレイラが帰国してから得点が止まったこともあり、現在は否応なしに前線の選手にスポットが当たる状況だ。守備の安定感はリーグでも随一。来季は4チーム降格という厳しいシーズンになるだけに、浅野が言う攻撃面での「最後の質」の向上が求められている。